学生消費者主義(読み)がくせいしょうひしゃしゅぎ

大学事典 「学生消費者主義」の解説

学生消費者主義
がくせいしょうひしゃしゅぎ

デイヴィッド・リースマン,D.(David Riesman)による『On Higher Education: The Academic Enterprise in an Era of Rising Student Consumerism』(1980年,日本語版は『高等教育論―学生消費者主義時代の大学』)の中で紹介された概念。学生が消費者としてより大きな影響力を持つようになる状況を指す。1960年代のアメリカ合衆国では,大学内の重要な政策形成や意思決定において大学教授団の力が強かった。こうした教授団による支配を衰退させる形で誕生したのが学生消費者主義で,青年人口の減少や大学進学の停滞などによる学生集団の市場支配力(market power)の増加等によるものとされる。1980年代には大学への入学許可を哀願する立場であった学生が,丁重に迎えられるお客様へと変化し,厳しい履修要件を課すことが避けられたり,成績学位安売りが行われるなどの現象が生じた。日本においても,1992年以降の18歳人口の減少,大学における定員未充足などの問題が,これに類する状況を生じさせているとも言える。
著者: 島一則

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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