宇宙ステーション補給機(読み)ウチュウステーションホキュウキ

デジタル大辞泉 「宇宙ステーション補給機」の意味・読み・例文・類語

うちゅうステーション‐ほきゅうき〔ウチウ‐ホキフキ〕【宇宙ステーション補給機】

エッチ‐ティー‐ブイ(HTV)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇宙ステーション補給機」の意味・わかりやすい解説

宇宙ステーション補給機
うちゅうすてーしょんほきゅうき

国際宇宙ステーションISS)へ食料、飲料水、実験資材などを輸送するために宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した無人貨物輸送機。HTV(H-Ⅱ Transfer Vehicle)ともよばれる。愛称は「こうのとり」。日本の実験棟「きぼう」も設置されている国際宇宙ステーションでは、宇宙飛行士が生活するための食料、飲料水が必要である。そのためにアメリカのスペースシャトルやロシアのプログレスが食料などの補給を担ってきたが、「きぼう」運用の負担分としての資材補給を担当するために、ヨーロッパのATV(Automated Transfer Vehicle)と同様な無人貨物輸送機を日本でも開発した。こうのとりは、ISS輸送機のなかで、唯一、実験ラックや大型船外ペイロードを輸送する能力を有している。

 こうのとりは全長約10メートル、最大径約4.4メートルの円筒形で打上げ時の質量は約16.5トン、搭載補給品の質量は約6トンである。こうのとり用に打上げ能力を改良されたH-ⅡBロケットで打ち上げられる。こうのとりは打上げ後、約400キロメートル上空の軌道上にある国際宇宙ステーションに地上からの誘導などで近づき、最終的には宇宙ステーションのロボットアームを用いて宇宙ステーションに接合する。貨物部分(補給キャリア)は与圧部分と非与圧部分に分かれている。与圧部分には食料や飲料水などの生活必需品などが入れられ、宇宙飛行士が直接、宇宙ステーションに運び入れる。非与圧部分には宇宙に直接暴露して実験する資材などを入れておきロボットアームで実験部へ設置できる。こうのとりは、これらの補給品を宇宙ステーションに搬入後、廃棄物を積み込み、宇宙ステーションからの分離後、大気圏に再突入して燃え尽きる設計になっている。

 第1号のこうのとりは、2009年(平成21)9月11日に打ち上げられ、9月18日に宇宙ステーションに接続した。補給品の搬入後、11月2日に大気圏に突入し燃え尽きた。2020年(令和2)5月21日に最後のこうのとり9号機が打ち上げられ、ミッションが完了した。後継の「HTV-X」が開発中である。

[編集部 2022年10月20日]


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