ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「H-IIロケット」の意味・わかりやすい解説
H-IIロケット
エイチツーロケット
H-II Launch Vehicle
H-IIロケットを全体にわたって再設計し,海外の安価な製品を利用,構造の簡素化などにより打ち上げ費用の削減と信頼性の向上をはかったものが H-IIAロケットである。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は 3.8~5.8tで,H-IIと同等から約 1.5倍の能力である。2001年夏に試験機 1号機が打ち上げられて以来,16回中 15回の打ち上げに成功。なお 2007年の 13号機から,打ち上げ作業を含めて H-IIA打ち上げ関連業務のほとんどが民間企業である三菱重工業に移管された。また商業打ち上げの受注活動も,三菱重工業が行なうことになった。
日本は 1997年から国際宇宙ステーション ISSへの物資補給を行なう宇宙ステーション補給機 HTVの計画を進めてきた。HTVの質量は当初 15tと設定され,H-IIA標準型では打ち上げることができなかったため,1996年から H-IIAの増強型として H-IIBロケットの開発を進め,2009年9月に 1号機を打ち上げた。H-IIBは HTVだけでなく,静止衛星の打ち上げも想定している。静止トランスファー軌道への投入能力は 8tで,商業打ち上げで大きなシェアをもつヨーロッパ宇宙機関 ESAのアリアンVロケットに近い能力を有する。
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