日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇津木六之丞」の意味・わかりやすい解説
宇津木六之丞
うつきろくのじょう
(1809―1862)
江戸後期の彦根(ひこね)藩士。古沢氏の四男。13歳のとき伯父宇津木景俊(かげとし)の養嗣子(ようしし)となる。字(あざな)を景福と称す。物頭(ものがしら)、城使(じょうし)、表用人などを歴任し、1854年(安政1)藩主井伊直弼(なおすけ)の側役(そばやく)、58年、直弼の大老就任に伴いその公用人となる。長野義言(よしこと)(主膳(しゅぜん))とともに信任を得、安政の大獄に采配(さいはい)を振るった。62年(文久2)政変により失脚し、10月27日斬罪(ざんざい)に処せられた。著書に、幕末外交問題を知る貴重な史料『公用方秘録』がある。
[藤田恒春]
『『近江人物志』(1917・滋賀県教育会)』▽『東京大学史料編纂所編・刊『大日本維新史料 井伊家史料』既刊19冊(1959~ ・東京大学出版会)』