宇礼志庄(読み)うれしのしよう

日本歴史地名大系 「宇礼志庄」の解説

宇礼志庄
うれしのしよう

興福寺大乗院領庄園。だけ山・金胎寺こんたいじ山西麓のうれし付近が庄域と考えられる。仁平二年(一一五二)と推定される七月六日付右少弁藤原資長書状(興福寺本信円筆因明四相違裏文書)にみえ、「興福寺領宇礼志庄解、謹給預候了」と述べ、野宮雑事について国司に尋ねて子細を言上するとしている。これより以前の西岸さいがん(現東大阪市)蔵大般若経巻四六五の大治四年(一一二九)五月九日付奥書に「河内国錦郡宇礼志野別所」とあり、また金剛こんごう(現河内長野市)蔵「薩婆多婆沙」巻一の寛喜二年(一二三〇)一二月一四日の奥書に「於河内国錦部郡宇礼志郷結縁院中房、書写了」と記され、当庄が錦部にしごり郡に属することが明示される。

弘長三年(一二六三)一二月日付で公文が注進した所当注文(内閣文庫蔵大乗院文書「諸庄々文書案」)は、当庄の面積・田種・庄官組織・課役などの全容を知らせてくれる。田畑総面積は荒熟合せて三九町八反二一六歩、うち「除」として塩宮免(田畑計二反一八〇歩)・八幡宮免(田三反)・結縁院免(田畑計三反一八〇歩)・善積院免(畑四反)・勝蓮院灯油(畑一反)・西安寺免(田畑計二反)・八幡宮論(田畑計七反二四〇歩)・足力論(田畑山荒計三町七反二四〇歩)寺社免田と荒(三町四反二七歩)・河成(八反二九〇歩)が計上される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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