改訂新版 世界大百科事典 「宋三彩」の意味・わかりやすい解説
宋三彩 (そうさんさい)
Sòng sān cǎi
中国,宋時代の三彩陶。960年に建国した宋王朝は1126年(靖康1)に女真族の侵寇を受けて南渡すると,南北に南宋,金の両王朝が併存することとなった。宋三彩という場合,金三彩をも含めて称するのが常である。宋三彩は晩唐,五代の三彩の系譜をひき,はじめは華北の磁州窯系の窯で焼造されており,河南省の登封窯,魯山窯,宝豊窯,河北省の磁州窯などで焼造された。しかし北宋時代の三彩は遺品が大変少ないのが奇妙である。いわゆる宋三彩は,花瓶が少しあり,大半は画花と印花で文様をあらわす枕でしめられているが,実はほとんど金から元代にかかる12~13世紀のものと判断される。これに対して華南では南宋から元にかけて三彩が焼造されており,窯は判然としないが,緑釉陶が福建省の泉州窯,江西省の吉州窯で焼かれているところから,およそこの方面で製造されたのであろう。その種のものは日本をはじめ東南アジアから少しく出土するので輸出が主力であったらしい。
執筆者:矢部 良明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報