江戸時代,大名およびその家臣などが参勤交代をせずに江戸に定住すること。老中など幕府の要職についた大名は,在職期間中は参勤をせずに江戸に留まっていた。要職にある大名以外でも,一部の大名分家の支藩,御三家のうち水戸家は常に定府であった。大名の家臣のうち幕府や他藩との交渉にあたる者などは,藩主の帰国時も国元に帰らず,常に江戸の藩邸にあることが多かった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…これら幕府からの拝領屋敷のほかに,百姓地を買収した抱屋敷のある場合もあった。上屋敷には,藩主の対面の間や政務のための諸室が並ぶ表向きの殿舎と,藩主の私生活の場としての奥向きの殿舎を中心に,台所補給部門・作事関係の殿舎,江戸詰定府の家臣の長屋などがあった。中屋敷は控えの居館あるいは隠居した藩主や世子の邸宅として,一般に上屋敷の規模を縮小して設けられた。…
…藩主は参勤交代を免除されて江戸小石川邸に常住し,必要なときだけ幕府の許可を得て帰藩する定めであった。これを定府(じようふ)制といい廃藩まで続いた。領地は常陸国のうち茨城,那珂,久慈,多賀の4郡にまとまって存在したほか,行方,新治2郡の一部および下野国那須郡内にあり,石高ははじめ25万石であったが,22年(元和8)多賀郡手綱城主戸沢氏移封のあと3万石を加増されて28万石となった。…
※「定府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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