日本大百科全書(ニッポニカ) 「定着漁業」の意味・わかりやすい解説
定着漁業
ていちゃくぎょぎょう
sedentary fisheries
定着漁業は、元来、公海の海底に付着するか公海の海床で生息する貝類、海綿、サンゴなどを採取する漁業を意味した。1958年の第一次海洋法会議で、大陸棚に関する条約の審議において、沿岸国の主権的権利の及ぶ大陸棚資源のなかに定着漁業資源を含める提案がなされ、この条約は、定着種族、すなわち「収獲期において海床の表面もしくは下部で静止しているかまたは海床もしくは地下に絶えず接触していなければ動くことができない生物」を大陸棚資源のなかに含めた。これによって、アメリカ、旧ソ連等は、タラバガニ等の甲殻類を大陸棚資源であると主張し、これを公海資源であると主張する日本と対立した。
[水上千之]