定針儀(読み)ていしんぎ(その他表記)directional gyro

日本大百科全書(ニッポニカ) 「定針儀」の意味・わかりやすい解説

定針儀
ていしんぎ
directional gyro

航空機内につねに回転軸が水平を保つように支えたジャイロを利用した航空計器。機首方位が変わっても回転しているジャイロの軸は空間中で一定の方向を保ち続けるので、地球磁場を利用した磁気コンパスと同じように使うことができる。磁気コンパスは構造が簡単で、故障がなく、軽量である、などの特長がある反面、航空機の動揺に弱く、また急旋回緯度の高い所では誤差が大きくなるといった欠点がある。これに対し、ジャイロを利用する定針儀にはこのような欠点がないので正確な変針操作ができる。なお、定針儀は構造の関係で低価格なため主として軽飛行機に使用され、大型機ではフライトディレクター・システムの遠隔操作コンパスシステムやステーブルプラットホームを利用したHSIhorizontal situation indicator)が使用される。

[落合一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定針儀」の意味・わかりやすい解説

定針儀
ていしんぎ
directional gyro

ジャイロを利用した一種のコンパス。ディレクショナル・ジャイロともいう。ジャイロの回転軸方向が航空機内で常に水平を保つように取り付け,このジャイロに方位を目盛った板を取り付けておくと,航空機の運動によって変化する機首方位の方向を知ることができる。磁気コンパスの誤差が大きい旋回時や高緯度の地域では特に有効である。ただし地球には自転があるので,その修正をする必要がある。 (→ジャイロコンパス )

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