宝の槌(読み)タカラノツチ

デジタル大辞泉 「宝の槌」の意味・読み・例文・類語

たからのつち【宝の槌】

狂言打ち出の小槌こづちだとだまされて古い太鼓ばちを買った太郎冠者が、何も出ないので主人にいろいろ言いわけをする。

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精選版 日本国語大辞典 「宝の槌」の意味・読み・例文・類語

たからのつち【宝の槌】

  1. 狂言。各流。太郎冠者は、都で詐欺師にだまされて古い太鼓の桴(ばち)打出小槌(こづち)と思い込み買って帰るが、何も出ないので主人にいろいろ言い訳をする。天正狂言本では「宝買」。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宝の槌」の意味・わかりやすい解説

宝の槌
たからのつち

狂言の曲名。脇(わき)狂言・太郎冠者(かじゃ)物。主人に命じられて都に宝物を買いにきた太郎冠者(シテ)を、すっぱ(詐欺師(さぎし))が呼び止め、太鼓の古撥(こばち)を打出(うちで)の小槌(こづち)と偽って差し出す。教えられた呪文(じゅもん)を唱え、「カッタリ、カッタリ」と撥を振ったところ、すっぱの投げた脇差(わきざし)が両脚の間から飛び出してきたので、冠者はすっかり信用してしまい、その古撥を高値で買って持ち帰る。ところが、主人の所望する馬を打ち出そうとしてもいっこうに出てこない。苦しい言い逃れも底をついた冠者が、「カッタリ、カッタリ」とご普請の音がするのはご立身の前兆でめでたいことだというと、主人も冠者を許し、和やかに終わる。『末広がり系統の祝言色の濃い曲であるが、言い逃れに苦心する太郎冠者のユーモラスな演技も見どころである。

[池田英悟]

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