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末広がり すえひろがり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

末広がり
すえひろがり

狂言の曲名。脇狂言。大果報の者 (シテ) が太郎冠者 (アド) に都で末広がりを求めてこいと命じる。末広がりが扇であることを知らず「末広がり買いま」と往来を呼び歩く太郎冠者に,すっぱ (詐欺師) の売手 (アド) は,傘を末広がりとだまして売る。持帰った傘を見て主はさんざんに叱るが,太郎冠者がすっぱに教えられた囃子物をうたうと,主のきげんも直り,ともに浮れてめでたくしめる。本曲は歌舞伎では,嘉永7 (1854) 年3世桜田治助作詞,杵屋三郎作曲の長唄 (本名題『稚美鳥末広』) ,また 1878年に常磐津 (同『寿末広』) ,80年に一中節『末広』として初演されている。

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デジタル大辞泉の解説

すえ‐ひろがり〔すゑ‐〕【末広がり】

末広(すえひろ)1」に同じ。「末広がりの裾野(すその)」「末広がりの八(はち)の字」
末広2」に同じ。「家運が末広がりに開ける」
末広3」に同じ。

すえひろがり【末広がり】[狂言・歌舞伎舞踊]

狂言。末広がりを買いにいかされた太郎冠者がだまされて傘を求めて帰り、怒った主人に囃子(はやし)物を聞かせて機嫌をとる。
歌舞伎舞踊。長唄。本名題「稚美鳥末広(わかみどりすえひろがり)」。3世桜田治助作詞、10世杵屋六左衛門作曲。嘉永7年(1854)江戸中村座初演。の囃子物のくだりを中心に舞踊化したもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

すえひろがり【末広がり】

(1)狂言の曲名。脇狂言,果報物。大蔵,和泉両流にある。ある果報者(富豪)が,祝宴の来客への進物用に末広がり(扇の一種)を買い求めるため,太郎冠者を都へつかわす。末広がりが何であるかを知らない太郎冠者が,〈末広がり買おう〉と都大路を呼び歩いていると,都のすっぱ(詐欺師)に呼びとめられる。太郎冠者を田舎者と見てとったすっぱは,ことば巧みに太郎冠者をだまし,傘を末広がりといつわって売りつける。高い値で傘を求めて帰った太郎冠者は,主人に厳しく叱責されるが,すっぱが主人の機嫌の悪いときに囃せといって教えてくれた囃し物を思い出し,〈傘をさすなる春日山……〉と拍子おもしろく謡い舞う。

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大辞林 第三版の解説

すえひろがり【末広がり】

すえひろ(末広)」に同じ。 「煙は竈から…吹き出し、-に横になぐれて/日本北アルプス縦断記 烏水
扇の異名。すえひろ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

末広がり
すえひろがり

狂言の曲名。脇(わき)狂言、果報物。「末広」と書いても「すえひろがり」と読む。大果報者(だいかほうもの)(大金持ち。シテ)が、供応の引出物(ひきでもの)に末広がり(扇の一種)を進上しようと、太郎冠者(かじゃ)を都へ求めにやる。末広がりとはどういう物か聞いてこなかった冠者は、「末広がり、買おう」と都を呼び歩く。すっぱ(詐欺師(さぎし))が呼び止め、古傘(ふるからかさ)を末広がりだといい、「地紙(じかみ)(よ)う……」などという注文にもうまくあわせ、高価で売りつける。冠者は喜んで帰宅するが、主人はあきれ怒って冠者を追い出す。そこで冠者は、すっぱから教えられた、主人の機嫌を直す囃子物(はやしもの)(リズミカルな謡)を「かさをさすなる春日山(かすがやま)。……げにもさあり、やようがりもそうよの」と謡っているうちに、主人はしだいに浮かれだし、ついに冠者を呼び入れ、シャギリの笛にのってめでたく終曲する。主人が囃子物のリズムに浮き立っていくところに、めでたい和やかな笑いが漂う。脇狂言の代表曲といえる。
 本曲に拠(よ)った邦楽には、通称「末広がり」で知られる長唄(ながうた)(本名題(ほんなだい)『稚美鳥末広(わかみどりすえひろがり)』、3世桜田治助(じすけ)作詞、10世杵屋(きねや)六左衛門作曲、1854年江戸・中村座初演)があり、ほかに、明治前期につくられた常磐津(ときわず)『寿末広(ことぶきすえひろ)』と一中節(いっちゅうぶし)『末広(すえひろ)』などがある。[小林 責]

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世界大百科事典内の末広がりの言及

【囃し物(囃子物)】より

…歌詞は曲中の人物が即興的に思いついた形のもので,舞踊的な所作をともなう。《末広がり》など脇狂言の果報者物に用いられるが,太郎冠者が主人の機嫌をとるなどの設定で謡われ,小鼓,大鼓,太鼓が伴奏し,シャギリ留めに連結する。また,《煎物(せんじもの)》《鈍太郎(どんだろう)》などでも,神事の山車(だし),手車などの囃子に用いられている。…

※「末広がり」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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