客人歓待
きゃくじんかんたい
hospitality
客人に対して食物,宿泊の便を与えてもてなした慣習。その背後には種々の要素が考えられるが,おもなものとして次の3つがあげられる。 (1) 互恵的要素 交通手段,宿泊設備,食料,危難など,あらゆる点で旅は不安のつきまとうものであり,客人を歓待することによって,人は同じ境遇にあるときの自分も同様に歓待されることを期待した。 (2) 畏敬的要素 客人を「神の窓」から迎え入れ,神の座につかせるアイヌの習俗がその典型的な一例で,客人は仮装した神,あるいは神秘的な力のにない手として考えられ,よくもてなすことによって幸福を招くとされる。熊祭,日本における田の神,山の神,沖縄におけるネリアなどの信仰にみられる,神が定期的に人間界を訪れ,豊穣や幸運をもたらして帰るという来訪神=客人 (貴人) という考え方もこれに属する。 (3) 交易的要素 客人歓待に際して物やニュースの交換をすることによって,相手のもたないものを与え,自分にないものを受け,新たに視野を広げるという利益が受けられる。客人歓待に結びついた儀礼は広く各民族についてみられ,地方や民族によってさまざまである。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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