客者評判記(読み)カクシャヒョウバンキ

デジタル大辞泉 「客者評判記」の意味・読み・例文・類語

かくしゃひょうばんき〔カクシヤヒヤウバンキ〕【客者評判記】

洒落本。3巻。烏亭焉馬うていえんば作。安永9年(1780)刊。遊郭に来る客の生態を描く。

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改訂新版 世界大百科事典 「客者評判記」の意味・わかりやすい解説

客者評判記 (かくしゃひょうばんき)

滑稽本式亭三馬作,歌川国貞画。1811年(文化8)正月刊。再板本に文政6年(1823)板と明治板がある。3巻3冊。角書は,〈花江戸三芝居〉。内容は,当時の芝居通である三馬が,八文字屋の役者評判記の体裁・構成にならって,劇場の観客の評判を記したもの。烏亭焉馬の《客者評判記》(1780刊)が遊里の客の評判であったものを芝居の客に移して趣向としたもので,評判記同様,横本仕立てで,巻頭にはわざわざ八文字屋自笑(4世)の序を置く。なお,開口の見物左衛門の話は,市川団十郎(5世)・烏亭焉馬の《五百崎(いおざき)虫の評判》(1804刊)の模倣。同じ三馬の《戯場粋言(げじようすいげん)幕の外》(1806序文)が劇場内の観劇風景を記したのに対し,本書は,観客諸層の芝居観をうがったところにおもしろさがある。当時,評判記形式による比較・批評が流行したが,その類書の一つ。《日本庶民文化史料集成》第6巻に収録。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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