密度関数(読み)みつどかんすう(その他表記)density function

改訂新版 世界大百科事典 「密度関数」の意味・わかりやすい解説

密度関数 (みつどかんすう)
density function

確率密度関数の意味に用いられることが多い。例えば,正規分布の密度関数は,

であって,区間ab]にある確率は,であり,また分布関数は,で与えられる。一般に,分布関数Fx)は,

 Fx)=a1F1x)+a2F2x)+a3F3x) (a1a2a3≧0,a1a2a3=1) 

の形に表される。ここにF1x)は離散型分布F2x)は特異な連続分布,F3x)がいま問題にする絶対連続分布に対応する分布関数である。F3x)に対しては,可測関数px)≧0が定まって,となる。このpx)が密度関数,あるいは分布密度と呼ばれる。二項分布やポアソン分布は離散型で上のF1x)にあたる分布関数をもつが,正規分布はF3x)だけの分布である。ほかによく知られている密度関数は,指数分布,一様(長方形)分布,コーシー分布などに対するものがあり,それぞれ,λ>0として,

である。多次元空間上の確率分布についても同様に密度関数が考えられる。例えば二次元ガウス分布は次のような密度関数をもつ。


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「密度関数」の意味・わかりやすい解説

密度関数
みつどかんすう

Xを確率変数とする。ある連続関数(有限個の不連続点があってもよい)f(x)で

を満たすものがあって、任意の実数xに対してX<xである確率P(X<x)が

と表される場合に、f(x)を確率変数Xの密度関数または確率密度という。

 また確率変数とは離れて、単に前記性質(*)をもつ関数f(x)を密度関数または確率密度ということもある。

古屋 茂]

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世界大百科事典(旧版)内の密度関数の言及

【確率】より

Xが離散形確率変数の場合には分布関数は階段関数となる(図4)。これとは対照的に分布関数F(x)が絶対連続,すなわちと表されるとき,Xは連続形であるといい,f(x)を密度関数と呼ぶ。 離散形の場合に戻って分布の例をあげよう。…

【数理統計学】より

…まず基本となる母集団の分布が多くの場合正規分布,あるいは近似的に正規分布に近いとしてよいことに注意する。その分布は平均値mと分散σ2によって一意的に決まり,密度関数g(xm,σ2)は次式で与えられる。実際,前述の解熱剤の例でいえば,その効果は下がった体温の量で表され,基本的にはある定まった値(平均値m)であるが,患者の体質や病状などに個人差があって,mからの偶然誤差が生ずる。…

【統計的検定】より

…さらに収率や身長のように連続値をとり,単峰かつ対称で平均から極端に隔たる要素が存在しないと思われる場合には正規分布を仮定することができる。平均μ,分散σ2の正規分布N(μ,σ2)の密度関数は,で与えられる。これはμを中心とし,富士山を投影したような形をしている。…

※「密度関数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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