尋書(読み)たずねがき

精選版 日本国語大辞典 「尋書」の意味・読み・例文・類語

たずね‐がき たづね‥【尋書】

〘名〙
① 江戸時代、奉行が出廷して自ら裁判を行なう場合に参考にした尋問要項書。評定所留役(とめやく)吟味物調役、与力などが、あらかじめ下吟味などをもとに作成し奉行に提出していたもので、奉行はこれを見ながら尋問を行なった。目録、つまみとも。
※百箇条調書(江戸)六「尋書折本は評席にて直に留役へ渡し懸り」
② 江戸時代、裁判で、大名旗本など侍以上のものを糾問する場合に送達した書付。これらのものに対しては、奉行所に召喚して直接口頭で糾問することをしないで、本人に尋書を送達した。
※寺社法則‐上・文化三年(1806)八月「別紙小普請医師岡井三斎父岡井運南え之御尋書壱封、大炊頭殿御差図に付相達候間」
③ 江戸時代、盗犯裁判のさい盗賊白状(申口)の真偽を確かめるため、被害者に盗難の状況、贓物(ぞうぶつ)などについて問いただした書付。
御仕置例類集‐古類集・一・寛政一〇年(1798)御渡「其盗賊之申口を以、宿村継にて、尋書差遣し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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