国指定史跡ガイド 「小浜藩台場跡」の解説
おばまはんだいばあと【小浜藩台場跡】
福井県大飯(おおい)郡おおい町にある小浜藩の台場跡。指定名称は「小浜藩台場跡 松ヶ瀬台場跡(まつがせだいばあと) 鋸崎台場跡(のこぎりざきだいばあと)」。若狭湾の一部である小浜湾を形成する大島半島の東端に位置している。江戸期の小浜藩の海防体制は、幕府の異国船に対する警戒体制の一環として整備された。京都の北部に位置し、京都所司代を何度も務めた酒井氏を藩主とする小浜藩としては、京都の北を守ろうとする意識の上に海防体制を強化したものと思われる。1851年(嘉永4)には幕府に台場築造を届け出ており、1854年(安政1)に鋸崎・松ヶ瀬に台場を築造。同時期に藩内の川崎・海手浦台場なども築造され、海防体制は整備されていった。1994年(平成6)から発掘調査が実施された結果、町内大島赤栗にある松ヶ瀬台場跡は、2ヵ所の台場が築かれ、2号台場跡は径約80mの半円形をした土塁に囲まれ、中央に回転式大砲を置いたとされる半円形の砲座が配置されており、保存状態が良好なことから2001年(平成13)に国の史跡に指定された。大島東浦にある鋸崎台場跡は、酒井家文庫に所蔵されている絵図などの史料と発掘調査の成果が一致し、保存状況も良好であることが確認されたことから、2004年(平成16)に追加指定するとともに、名称変更された。松ヶ瀬台場跡へは、JR小浜線若狭本郷駅から福井鉄道バス「宮留」下車、徒歩約10分。