小船越(読み)こふなこし

日本歴史地名大系 「小船越」の解説

小船越
こふなこし

中世よりみえる地名で、海上交通の要衝であった。たんに船越ともするが、大船越おおふなこしに対して小船越の呼称が定着した。永和四年(一三七八)と推定される四月一〇日の宗隆茂(澄茂)遵行状(与良郷宗家判物写)に「小船越」とみえ、介智けち郡の住吉大明神の祭礼について当地の住人に催促するよう主計允・善三郎左衛門入道に命じている。応永一五年(一四〇八)以前、宗三州(讃岐守貞茂か)に従って対馬に渡海してきた宗貞満は「舟越」に逗留したが(同一七年「宗貞満由緒書」同判物写など)、これは当地であろう。永楽一八年(応永二七年、一四二〇)二月二一日、朝鮮王朝の回礼使の宋希も住吉から「対馬島東面の船余串」に停泊(老松堂日本行録)島内の諸浦のみでなく、朝鮮航路とも結ぶ要所であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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