家庭医学館 「尿管開口異常」の解説
にょうかんかいこういじょう【尿管開口異常 Ectopic Ureter】
正常な尿管は、膀胱(ぼうこう)三角部の外側に開口していますが、それ以外の部位に開口するものをいいます。女性に多く、重複腎盂尿管(じゅうふくじんうにょうかん)(腎臓内に腎盂が2つあって、それぞれから尿管が出ている形態異常)にともなうことが多いものです。
女性では、尿道(にょうどう)、腟前庭(ちつぜんてい)、腟に尿管が開口することが多く、子宮頸管(しきゅうけいかん)や子宮に開口していることもあります。
男性では、後部尿道に開口することが多いのですが、精嚢腺(せいのうせん)や精管に開口していることもあります。
[症状]
女性では持続的な尿失禁(にょうしっきん)(尿もれ)が多いのですが、開口部位によっては尿失禁はおこりません。男性では、尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)よりも内部に開口するので尿失禁はおこりません。
開口部位に異常のある尿管は下端部で尿の通過障害をともなうことが多いので、水尿管(すいにょうかん)や水腎症(すいじんしょう)(「水腎症」)になりやすく、発熱やわき腹の痛みなどの尿路感染症状が現われることもあります。
[検査と診断]
女性に持続的な尿失禁があれば、視診によって尿管の異常な開口部位を発見することができます。
インジゴカルミンという色素を静脈注射し、青く染まった尿が流出するところをさがすと発見が簡単です。
静脈性腎盂造影(じょうみゃくせいじんうぞうえい)、経皮的腎盂造影(けいひてきじんうぞうえい)、逆流性腎盂造影(ぎゃくりゅうせいじんうぞうえい)などによって尿の流れをみることも診断に役立ちます。
治療としては、尿管の下端を切り離し、膀胱につなぎなおす手術をします。腎機能障害の程度によっては、腎臓、尿管を摘出することもあります。