翻訳|ureter
腎臓と膀胱を結び尿を運ぶ管。腎盂(じんう)の続きである腎門を出るところから始まり,後腹壁の腹膜の前を下り総腸骨動静脈の前をこれらと交差して骨盤に入り膀胱底に左右別々に開口する。口径4~7mm,長さ25~30cm。粘膜はひだに富み,上皮は移行上皮で,尿が運ばれるときは伸展されて3層ぐらいになり,尿が空のときは10層にもなる。最表層の細胞は被蓋細胞と呼ばれ,とくに大きく,細胞質はエオジンによく染まる。移行上皮の上皮細胞の基底部は,すべて上皮の下端まで達しているので,一種の多列上皮とする見方が強い。上皮下に膠原(こうげん)繊維や弾性繊維のほか結合組織細胞成分に富む粘膜固有層が存在し,その外に固有層よりもまばらな結合組織からなる粘膜下層があり,さらに外側に平滑筋からなる筋層がある。尿管のうち上2/3では内縦,外輪の2層,下1/3では内縦,中輪,外縦の3層からなる。これら筋層の収縮と弛緩によって蠕動(ぜんどう)運動が起こり,腎盂から膀胱へ尿が送られる。筋層の外側には,疎性結合組織からなる外膜があり,脈管や神経が通っている。
執筆者:藤田 尚男 尿管の病気には,奇形,外傷,腫瘍(尿管癌),炎症(尿管炎,尿管結核),尿管結石などがある。診断は腎盂尿管造影を主体に行う。尿管の病気の中で最も頻度の高いものは尿管結石で,腎臓でできたものが尿管に落ちてできる。0.8cm以下の尿管結石は自然に排泄されるが,それ以上の大きさのものは手術が必要である。
→尿路結石
執筆者:小磯 謙吉
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