屋良座森グスク(読み)やらざむいぐすく

日本歴史地名大系 「屋良座森グスク」の解説

屋良座森グスク
やらざむいぐすく

[現在地名]那覇市住吉町

那覇港口の南側に設けられた海上防備砲台で、北の砲台である三重みえ城と対応する。尚清王時代の嘉靖三〇年(一五五一)三月五日に海神が現れ、一〇月二日より石普請が始まったと伝え、二年後に完成した(「中山世鑑」巻五)。首里城を起点とする真玉まだま道の終点にあたる。間切集成図には「那覇湊口三重城ヨリ屋らさもりと之間一町二十間内屋らさもり之方干潮三十二間」と記される。沖縄戦後米軍の那覇軍港拡張のため破壊され、現在では跡形もない。垣花かきのはな北端から三〇〇メートル余りの海中道路を渡った岩礁上に構築されていた。一九三四年(昭和九年)と翌三五年に沖縄の文化財を調査した田辺泰は形状について、那覇港のいわゆる屋良座森の外で、海中に突出した自然岸壁を利用し、その上に高さ約一・五メートル、厚さ約一・八メートルで長方形城壁を巡らし、郭内は東西一七・三メートル、南北二九メートル。四方ともにそれぞれ内側から城壁上に上る石段二ヵ所ずつを設けていると説明する(琉球建築)

城の「まうはらひ」(竣工式)を記念して、翌嘉靖三三年に建てた「やらさもりくすくの碑」(表)に聞得大君ミセセル(神託)として「やらさもり やへさもり いしらこは ましらこは おりあけハちへ つみあけハちへ(屋良座森 八重座森〔屋良座森の対語〕 石ら子〔石の美称語〕は真白子〔石の美称語〕は 織り上げ給いて積み上げ給いて)」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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