屍蝋(読み)しろう

日本大百科全書(ニッポニカ)「屍蝋」の解説

屍蝋
しろう

水分が豊富で空気の流通が遮断されているような環境下(水中、湿潤な土中)に放置された死体にみられる灰白色ないし淡黄褐色の半固形化した(ワックス)様物で、特有なカビ臭さを有する。主として体脂肪の特殊な死後分解・変性によるもので、脂肪酸、同塩類などから構成される。屍蝋形成(屍蝋化)は長期にわたって徐々に進行するため、屍蝋の硬度、感触も、せっけん様、粘土様、チーズ様、石膏(せっこう)様(乾燥したもの)とさまざまで、その化学的組成も各事例によって異なる。しかし、屍蝋自体は安定で変化、分解しにくい。屍蝋化死体は、皮下組織、筋肉などが屍蝋に変化、置換されて、死体の外形が保持されるため、永久死体ともいわれる。成人死体の全身完全屍蝋化には、普通、3年以上はかかるとされる。

[小谷淳一]

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精選版 日本国語大辞典「屍蝋」の解説

し‐ろう ‥ラフ【屍蝋】

〘名〙 蝋様に変化した死体。死体が水中や水分の多い土中にあって空気との接触を断たれると、脂肪酸ができて、これがカルシウムやマグネシウムと結合して水にとけない石鹸様、チーズ様、石膏様などになり、長くその原形が保たれる。〔現代術語辞典(1931)〕

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デジタル大辞泉「屍蝋」の解説

し‐ろう〔‐ラフ〕【××蝋】

蝋のように変化した死体。死体が長時間、水中または湿った地中にあったときなどに、体内の脂肪が脂肪酸となり、さらに蝋状になって、死体を原形に保つ。

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