層板小体(読み)ソウバンショウタイ(その他表記)lamellated corpuscle

デジタル大辞泉 「層板小体」の意味・読み・例文・類語

そうばん‐しょうたい〔‐セウタイ〕【層板小体】

圧覚を感知する受容体一つ皮下組織関節包腸間膜などにある。イタリアの解剖学者フィリッポ=パチニが発見した。パチニ小体

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改訂新版 世界大百科事典 「層板小体」の意味・わかりやすい解説

層板小体 (そうばんしょうたい)
lamellated corpuscle

ファーター=パチニ小体Vater-Pacini corpuscleあるいは単にパチニ小体ともよばれることのある圧覚および振動覚の受容装置であり,皮膚や粘膜深層,骨格筋内,関節包,腸間膜などに存在する,ほぼ米粒大の小体である。比較的太い知覚性の有髄神経繊維(AⅡ型)の軸索の末梢部分,これを同心円状に囲み100層にも及ぶ層板状細胞群,および最外層をなす被膜によりこの小体は形成される。1本の軸索を中心とする層板状細胞の5~6層の配列マイスネル小体にもみられるのではあるが,タマネギ断面を思わせるような大規模な層板の発達と体深部に局在する傾向を示す点とが層板小体の特色である。層板小体に外力が作用して中心部の神経軸索にひずみが生ずれば(層板構造は小体内における軸索の位置を固定し軸索のひずみに対する感受性を高める),それが刺激となり軸索興奮電位が発生する。一定の外力が持続的に作用する状況下では層板小体の活動はやむ。すなわち,この小体は外力の変化を探知するものであるといえる。
触覚
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世界大百科事典(旧版)内の層板小体の言及

【神経節】より

…末梢性突起のほうは,その末端が自由終末free nerve endingとなっているもの(痛覚繊維などの場合),特別の被膜をもつもの(被膜性終末encapsulated nerve ending。たとえば層板小体,マイスネル小体など),感覚細胞sensory cellと連絡するものなどがあり,皮膚,筋,筋膜,関節,骨膜,内臓,血管など身体各部からの情報は,すべて感覚神経節のニューロンによって中枢神経系に伝達される。しかし,伝達する情報(意識にのぼるものも,のぼらないものもある)の種類に対応して感覚神経節ニューロンの形を区別することは,現在のところではできない。…

※「層板小体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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