山台劇(読み)さんだいげき

精選版 日本国語大辞典 「山台劇」の意味・読み・例文・類語

さんだい‐げき【山台劇】

  1. 〘 名詞 〙 朝鮮半島中部の仮面劇蓬莱山をかたどった山台(やまだい)の前の舞台で演じるところからいう。舞踊とせりふ・歌をもつ風刺劇で、高麗朝の末(一四世紀)宮中儀礼が民間に下り雑伎と合流し、李朝中期に盛行した。現在、韓国京畿道楊州に受け継がれている。山台都監劇

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山台劇」の意味・わかりやすい解説

山台劇
さんだいげき

朝鮮の代表的仮面劇。山台都監劇(サンデトカムノリ)ともいう。現在韓国(大韓民国)中部の京畿道(けいきどう/キョンギド)楊州に伝承され、これを楊州別山台(ヤンジュビョルサンデ)という。高麗(こうらい)(918~1392)の宮中儀の儺礼(ナレ)が民間に下り雑伎(ざつぎ)と合流して流布した。それを李朝(りちょう)の宮廷が中国の使臣の迎接宴に採用し、山台都監庁で掌握したことから山台の呼称が生まれた。竹と柱で組まれた春、夏、秋、雪(冬)の四つの山台(舞台)を仮設し、そこに孔子像などの像を飾ったが、移動用の山車(サンスレー)もつくって引いた。李朝中葉に迎接宴の必要がなくなるとふたたび民間に放たれた。内容はほぼ11科場(幕、場)からなり、プロローグエピローグ神事を伴うが、本幕では人間界のことが中心で、これは韓国の仮面劇の特色である。両班(ヤンバン)(支配層)と破戒僧と退廃的な庶民(老夫婦)への痛烈な風刺劇で、才談(チェダム)(頓知(とんち))や猥談(わいだん)を利かせ、歌い語り舞い演じる痛快で楽しい仮面舞踊劇である。仮面は木製もあるが瓠(ひさご)製が多い。

[金 両 基]

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