蓬莱山(読み)ホウライサン

デジタル大辞泉 「蓬莱山」の意味・読み・例文・類語

ほうらい‐さん【蓬莱山】


蓬莱」に同じ。
蓬莱」に同じ。

蓬莱飾り」に同じ。
蓬莱台」に同じ。

ほうらい‐の‐やま【蓬莱山】

蓬莱」に同じ。
「人の見及ばぬ―」〈・帚木〉

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精選版 日本国語大辞典 「蓬莱山」の意味・読み・例文・類語

ほうらい‐さん【蓬莱山】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ]ほうらい(蓬莱)[ 一 ][ 一 ]
      1. [初出の実例]「海賦に蓬莱山・手長・足長、金してまかせたまへりし」(出典:大鏡(12C前)三)
    2. [ 二 ] 富士山の異称。
    3. [ 三 ] 宮城県の金華山の異称。
    4. [ 四 ] 江戸城の異称。
      1. [初出の実例]「不二山も蓬莱山も橋で見へ」(出典:雑俳・柳多留‐五九(1812))
    5. [ 五 ] 幸若舞「浜出(はまいで)」の別名
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. ほうらい(蓬莱)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「作蓬莱山、居瑠璃壺・盃等」(出典御堂関白記‐長和四年(1015)四月七日)
    2. ほうらい(蓬莱)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「餝おかせし蓬莱山(ホウライサン)の、北の洲崎海老の髭に」(出典:浮世草子・好色二代男(1684)一)
    3. 池坊流花器の一つ。花器の上皿をあげると、中の水入の外部が蓑亀の尾部のようになる、亀甲形の模様をつけたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蓬莱山」の意味・わかりやすい解説

蓬莱山
ほうらいさん

中国古代の戦国時代(前5~前3世紀)、燕(えん)、斉(せい)の国の方士(ほうし)(神仙術を行う人)によって説かれた神仙境の一つ。普通、渤海(ぼっかい)湾中にあるといわれる蓬莱山、方丈(ほうじょう)山、瀛洲(えいしゅう)山の三山(島)を三神山と総称し、ここに仙人が住み、不老不死の神薬があると信じられた。この薬を手に入れようとして、燕、斉の諸王は海上にこの神山を探させ、秦(しん)の始皇帝(しこうてい)が方士の徐福(じょふく)を遣わしたことは有名。三神山中で蓬莱山だけが名高いのはかなり古くからで、漢の武帝(ぶてい)のとき方士の李少君(りしょうくん)が上疏(じょうそ)して蓬莱山について述べ、のちに渤海沿岸に蓬莱城を築いていることからも明らかである。また唐代には蓬莱県が設置され、李白(りはく)、白居易(はくきょい)、杜甫(とほ)、王維(おうい)などの詩人たちによって、蓬莱山が福(ふく)・禄(ろく)・寿(じゅ)の象徴として歌われている。日本でももっぱら蓬莱山のみ詩歌や絵画の題材として用いられ、庭園様式にもみられるのは、おそらく唐代ころの普遍化された蓬莱像がそのまま伝わったためであろう。

[山田利明]

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改訂新版 世界大百科事典 「蓬莱山」の意味・わかりやすい解説

蓬萊山 (ほうらいさん)
Péng lái shān

中国,神仙思想で説かれる三神山の一つ。起源的には,戦国時代に渤海(ぼつかい)沿岸に位置する斉・燕2国の方術者たちが,蜃気楼(しんきろう)現象と神仙説とを付会して唱え始めたものである。《史記》などによると,渤海中には蓬萊・方丈・瀛洲(えいしゆう)の三神山があって,仙人が住み不死の薬があり,山上の鳥獣はすべて純白で,仙人の住む宮殿は金銀でつくられている。また,この三神山は遠くから見ると雲のようにみえるが,近くから見ると海中にあり,俗人が近づくと風が引きもどして行きつけないという。後世,この三神山に岱輿(たいよ)・員嶠(えんきよう)を加えた五神山説も唱えられたが,蓬萊山は終始その代表格であった。神仙思想の熱心な信奉者であった秦の始皇帝や漢の武帝などは,実際に徐市(じよふつ)(福)らを派遣してこの三神山を捜し求めさせている。その後,神仙思想が山岳信仰を軸に展開するようになると,五岳をはじめとする名山が中心的位置を占めるようになった。
執筆者:


蓬萊山 (ほうらいさん)

今様曲名。祝言の内容をもつ曲で,歌詞は〈ヤ 蓬萊山には ヤ 千とせ(歳)ふる ヤ 万歳千秋 かさ(重)なれり ムヤ 松の枝(えだ)には 鶴巣くひ ム 巌がそばには ヤ 亀遊ぶ〉。七五調4句から成り,ところどころに,はやしことばの類が挿入されている。《綾小路俊量卿記(あやのこうじとしかずきようのき)》,東北大本《今様》と《朗詠九十首抄》に曲譜が伝わるが,東北大本には,ム,ヤのことばは入っていない。《御遊抄》清暑堂の項,文正1年(1466)の条に,〈朗詠 徳是(とくはこれ)二反,今様 蓬萊山一反 有之〉と見え,御遊のときに,催馬楽(さいばら)や朗詠と並んで歌われた。また《源平盛衰記》には,祇王・祇女が〈同音に歌ひ澄したりければ,入道興に入給へり〉とある。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蓬莱山」の意味・わかりやすい解説

蓬莱山
ほうらいさん
Peng-lai-shan

中国,古代における想像上の神山。三神山 (蓬莱,方丈,瀛〈えい〉洲) の一つ。山東地方の東海中にあり,仙人が住み,不死の薬をつくっており,宮殿は金玉,白色の鳥獣がおり,玉の木が生えているとされた。しかし,遠く望めば雲のようであり,近づけばどこへか去って,常人にはいたりえないところという。前4世紀頃から盛んにいわれるようになり,神仙思想の原型となった。日本にも伝わって,富士山,熊野山,宮城県の金華山などの霊山の呼び名となった。また,熱田神宮を蓬莱と呼ぶこともある。

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百科事典マイペディア 「蓬莱山」の意味・わかりやすい解説

蓬莱山【ほうらいさん】

中国の伝説で渤海(ぼっかい)にあるとされる島。三神山の一つ。神仙が住み,不死の薬,金銀の宮殿がある。秦の始皇帝が派遣した徐福は蓬莱山に至らず,日本にきたという伝説も生まれた。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「蓬莱山」の解説

蓬莱山
(通称)
ほうらいさん

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
曾我蓬莱山
初演
享保5.1(大坂・嵐座)

蓬莱山
ほうらいさん

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
元禄7.1(江戸・松平大和守邸)

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世界大百科事典(旧版)内の蓬莱山の言及

【三神山】より

…中国,渤海にあったという伝説上の神山――蓬萊(ほうらい),瀛洲(えいしゆう),方丈(方壺)を指し,仙人たちが住み,不老不死の薬があるという。いずれも壺の形をしているので〈三壺山〉ともいわれる。先秦時代,渤海沿岸の燕や斉の方士(神仙の術を行う人)たちが唱え,秦の始皇帝や漢の武帝らの心をつかんだ。《史記》封禅書や《列子》湯問篇等には,華麗な御殿のたつ仙郷を記すが,実は蜃気楼の発生と関係するらしい。歴代,宮中の池や上元節の山車(だし)等に,三神山が作られた。…

【仙人】より


[中国]
 人間でありながら永遠の生命を獲得し,長生不死をとげるものをいい,〈神仙〉ともよばれる。〈仙〉の本字は〈僊〉であって,舞うさまの形容や上昇の意味に使用される。仙人には天空に舞いあがるイメージがともなうところから,この文字が用いられたのであろう。〈仙(僊)人〉ということばをはじめて用いたのは《史記》封禅書であるが,長生不死の観念はすでに先秦時代の書物にみとめられる。たとえば《荘子》にひんぱんにあらわれる〈神人〉〈真人〉〈至人〉など,また《山海経(せんがいきよう)》には〈不死の薬〉〈不死の民〉〈不死の国〉〈不死の山〉などに関する伝説が語られている。…

【楽園】より

…一般に,苦しみのない至福の場所を表す語。パラダイスparadise(英語),パラディースParadies(ドイツ語),パラディparadis(フランス語),パラディゾparadiso(イタリア語)などのように,ヨーロッパ諸言語で〈楽園〉を表す語はすべて共通している。語源は古代ペルシア語pairidaēzaであり,原義は〈周囲をpairi囲われたdaēza〉で,王侯貴族がとくに獲物の多い土地を,自分たちの狩猟の楽しみのために囲い込んだ猟園を意味したらしい。…

※「蓬莱山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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