岡十郎(読み)オカ ジュウロウ

20世紀日本人名事典 「岡十郎」の解説

岡 十郎
オカ ジュウロウ

明治・大正期の実業家 東洋捕鯨社長



生年
明治3年6月29日(1870年)

没年
大正12(1923)年1月8日

出生地
山口県阿武郡

旧姓(旧名)
西村

学歴〔年〕
慶応義塾

経歴
在学中に福沢諭吉の導きで水産業を志す。のち家業酒造業に従事し、明治30年には山口県会議員となる。朝鮮近海におけるロシア太平洋捕鯨会社のめざましい活躍に影響され、ノルウェー式捕鯨技術の導入によって漁業近代化を図るべく32年には日本遠洋漁業株式会社(のち東洋漁業、東洋捕鯨)を設立。以後、捕鯨独占資本として業績を上げ、漁業によって日本の資本主義発達を牽引した。また、渋沢栄一や浅野総一郎らとメキシコ漁業調査会を結成し、その会長として南米チリ沿岸の漁業調査や海外漁場開発などに当たった。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「岡十郎」の解説

岡十郎

没年:大正12.1.8(1923)
生年:明治3.6.29(1870.7.27)
明治大正期,捕鯨業の近代化に貢献した実業家。捕鯨王とよばれた。山口県阿武郡奈古の西村利衛門の5男。のち同郡福井村の岡吉輔の養嗣子となる。慶応義塾に学び,福沢諭吉の教示を得て水産業の発達に志を抱く。朝鮮近海で操業するロシア太平洋捕鯨会社の活躍に刺激され,わが国で初めてノルウェー式捕鯨技術を導入,明治32(1899)年に山口県大津郡仙崎に日本遠洋漁業株式会社を興した。同社は東洋漁業,東洋捕鯨と社名を変更しながら捕鯨独占資本として発展を遂げ,現在の日本水産株式会社の基礎を築き上げるなど,漁業における資本主義発達の牽引力となった。また,渋沢栄一,浅野総一郎らとメキシコ漁業調査会を組織してその会長となり,南米チリ政府に招聘されて,同国沿岸の漁業調査を行うなど海外漁場開発にも活躍。<参考文献>石田好数『日本漁民史』

(石田好数)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「岡十郎」の解説

岡十郎 おか-じゅうろう

1870-1923 明治-大正時代の実業家。
明治3年6月29日生まれ。家業の酒造業をつぎ,明治30年山口県会議員。32年日本遠洋漁業を設立,ノルウェー式捕鯨法を導入して捕鯨業の近代化をはかる。42年東洋捕鯨(のち日本水産)を設立,社長となった。大正12年1月8日死去。54歳。長門(ながと)(山口県)出身。慶応義塾卒。旧姓は西村。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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