差縄・指縄・緡縄(読み)さしなわ

精選版 日本国語大辞典 「差縄・指縄・緡縄」の意味・読み・例文・類語

さし‐なわ ‥なは【差縄・指縄・緡縄】

[1] 〘名〙
馬具の引き綱の一種。馬の頭から轡(くつわ)にかけてつけるもので、手綱に添えて用いる。索馬(ひきうま)には(くちとり)が左右からつかんで引く。軍陣には手綱の補助として四緒手(しおで)にかける。付け方に諸(もろ)差縄と片(かた)差縄とがある。麻縄、または紺・白・浅葱(あさぎ)の撚紐を用いる。小口縄(こぐちなわ)。さしさしなわ。差綱。
今昔(1120頃か)二九「馬の指縄(さしなは)を以て木に強く縛り付けてつ」
② 物をしばるための細い麻縄。細引。
※古活字本毛詩抄(17C前)二〇「みどりな色のさしなわでからげたを云ぞ」
罪人をとらえて縛る縄。捕縄(とりなわ)。いましめ縄。
※御伽草子・みしま(古典文庫所収)(室町末)「さしなはを、とりいだし、おうぢ、むばをしばり」
④ (緡縄) 銭の孔に差し通す細い縄。ぜにさし。
※波形本狂言縄綯(室町末‐近世初)「さてみだけ銭が大分有程にさしなわをなうてくれい」
[2] (緡縄) 狂言。「狂言記」に見える名で、ふつう「縄綯(なわない)」と呼ばれる。家来太郎冠者まで打ちこんだ博打(ばくち)に負けた主人が、冠者相手何某の家に行かせるが、持病などを言いたてて冠者は働かず、もどされる。冠者はもとの主人のもとで縄をないながら、何某の悪口を言うが、いつのまにか主人に代わって何某がその現場にいるのであわてて逃げる。

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