デジタル大辞泉
「冠者」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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かん‐じゃクヮン‥【冠者】
- 〘 名詞 〙
- ① 元服して冠をつけた少年。転じて、弱年の者。若者。また、弱輩者。かざ。かんざ。かじゃ。
- [初出の実例]「其の冠者(くゎんじゃ)可然き所に宮仕へしける程に」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
- [その他の文献]〔論語‐先進〕
- ② 六位で、無官の人の称。かじゃ。
- [初出の実例]「襲二到于平氏方人菅冠者伊那郡大田切郷之城一。冠者聞レ之」(出典:吾妻鏡‐治承四年(1180)九月一〇日)
- 「匡房卿いまだ無官にて、江冠者とて有りけるを」(出典:十訓抄(1252)一)
- ③ 召使の若者。従者。家来。かじゃ。
- [初出の実例]「郎等冠者ばら、主の心を知りて恐れて」(出典:貞享版沙石集(1283)八)
冠者の語誌
「源氏‐乙女」に「くわさの君」とあるのは、撥音無表記の形だが、中世以降、実際に撥音を省略した「クヮジャ」という語形が行なわれるようになる。「天草版平家物語」、また、天正一七年本「運歩色葉」などから、遅くとも、室町中期までには、「クヮジャ」もかなり一般的になり、従来の「クヮンジャ」と並び行なわれていたと考えられる。
か‐じゃクヮ‥【冠者】
- 〘 名詞 〙 ( 「かんじゃ」の撥音「ん」の無表記 )
- ① =かんじゃ(冠者)①
- [初出の実例]「其冠者(クハジャ)今年は十七か八かになるとこそおぼゆれ」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
- ② =かんじゃ(冠者)②
- ③ =かんじゃ(冠者)③
- [初出の実例]「くゎじゃきゃくじんにそのよしいふ」(出典:虎明本狂言・口真似(室町末‐近世初))
か‐ざクヮ‥【冠者】
- 〘 名詞 〙 ( 「かんじゃ(冠者)」の撥音無表記、及び直音無表記の形 ) 元服をした少年。
- [初出の実例]「くゎざの君の御さま、〈略〉あてにうつくしげなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
かん‐ざクヮン‥【冠者】
- 〘 名詞 〙 =かんじゃ(冠者)①
- [初出の実例]「火んざの御座、引入の大臣の御座御前にあり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「冠者」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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冠者
かじゃ
「かんじゃ・かんざ・かざ」とも。元服して冠をつけた少年のこと。転じてたんに若者・弱輩の者をもいった。若い召使・家来のことにも使われ,狂言に登場する太郎冠者はこれに類する。六位で無官の者を称する例もある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の冠者の言及
【太郎冠者】より
…大名,果報者(かほうもの),主と呼ばれる役柄の人物に仕える召使の役で,狂言に登場する役柄の中ではもっとも数の多い代表的な人物である。《清水(しみず)》《縄綯(なわない)》《千鳥》《鐘の音》《止動方角》《寝音曲(ねおんぎよく)》《素袍落(すおうおとし)》《木六駄》など,大蔵流では小名(しようみよう)狂言,和泉流では太郎冠者物と称される演目群にシテとして登場し,《末広がり》《目近(めぢか)》《三本柱(さんぼんのはしら)》などの脇狂言,《粟田口》《入間川》《今参り》《文相撲(ふずもう)》《靱猿(うつぼざる)》《鬼瓦》《萩大名》などの大名狂言ではアド(能のワキ役にあたる)として登場する。冠者という語は,もと元服加冠したばかりの若者の称で,のちに主持ちの若者をも意味したが,狂言では若者の意味はなく,男性の総領の通俗的呼称である太郎を付して召使一般を意味する類型的役柄となった。…
※「冠者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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