「源氏‐乙女」に「くわさの君」とあるのは、撥音無表記の形だが、中世以降、実際に撥音を省略した「クヮジャ」という語形が行なわれるようになる。「天草版平家物語」、また、天正一七年本「運歩色葉」などから、遅くとも、室町中期までには、「クヮジャ」もかなり一般的になり、従来の「クヮンジャ」と並び行なわれていたと考えられる。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
「かんじゃ・かんざ・かざ」とも。元服して冠をつけた少年のこと。転じてたんに若者・弱輩の者をもいった。若い召使・家来のことにも使われ,狂言に登場する太郎冠者はこれに類する。六位で無官の者を称する例もある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…大名,果報者(かほうもの),主と呼ばれる役柄の人物に仕える召使の役で,狂言に登場する役柄の中ではもっとも数の多い代表的な人物である。《清水(しみず)》《縄綯(なわない)》《千鳥》《鐘の音》《止動方角》《寝音曲(ねおんぎよく)》《素袍落(すおうおとし)》《木六駄》など,大蔵流では小名(しようみよう)狂言,和泉流では太郎冠者物と称される演目群にシテとして登場し,《末広がり》《目近(めぢか)》《三本柱(さんぼんのはしら)》などの脇狂言,《粟田口》《入間川》《今参り》《文相撲(ふずもう)》《靱猿(うつぼざる)》《鬼瓦》《萩大名》などの大名狂言ではアド(能のワキ役にあたる)として登場する。冠者という語は,もと元服加冠したばかりの若者の称で,のちに主持ちの若者をも意味したが,狂言では若者の意味はなく,男性の総領の通俗的呼称である太郎を付して召使一般を意味する類型的役柄となった。…
※「冠者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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