日本歴史地名大系 「布師郷」の解説 布師郷ぬのしごう 高知県:土佐国安芸郡布師郷「和名抄」高山寺本・東急本ともに「布師」と記し、高山寺本は「沼乃之」、東急本は「布乃之」と訓ずる。康保四年(九六七)五月七日付の太政官符(類聚符宣抄)に「応補坐土左国安芸郡従四位下万業神社祝従八位下布師首勝士丸事」とある布師首は、布師郷に在住したものといわれる。地名は現存しないが、「蠧簡集木屑」所収の土佐郡潮江(うしおえ)村(現高知市)寿命(じゆみよう)院所蔵の応永一三年(一四〇六)の年号のある大般若経跋文に「安芸庄布師郷井口村一結衆」とあり、現安芸市井(い)ノ口(くち)周辺の地に比定できる。 布師郷ぬのしごう 富山県:越中国射水郡布師郷「和名抄」所載の郷。訓は諸本に「奴乃之」とある。同名の郷は土佐国安芸(あき)郡にもあり、訓を「布乃之」(東急本・伊勢本)、「沼乃之」(高山寺本)とする。いずれもヌノシの読みが妥当。故地について、「三州地理志稿」や「日本地理志料」は近世の布目(ぬのめ)村(現新湊市)のある大袋(おおい)庄にあて、「大日本地名辞書」では布師をフシとも読み二上(ふたがみ)山麓で小矢部(おやべ)川左岸の現高岡市伏木(ふしき)・二上・守山(もりやま)地区に比定する。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報