妙見(読み)ミョウケン

デジタル大辞泉 「妙見」の意味・読み・例文・類語

みょう‐けん〔メウ‐〕【妙見】

妙見菩薩」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「妙見」の意味・読み・例文・類語

みょう‐けんメウ‥【妙見】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 世阿彌の能楽論で、絶妙の芸。この上なくすぐれた芸。
    1. [初出の実例]「即座の風体は、ただ面白きのみにて、見所も妙見(メウケン)に亡じて」(出典:至花道(1420)皮肉骨事)
  2. [ 2 ]みょうけんぼさつ(妙見菩薩)
    1. [初出の実例]「此の寺は妙見の現じ給ふ所也」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
    2. [その他の文献]〔七仏八菩薩所説大陀羅尼神呪経‐二〕

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改訂新版 世界大百科事典 「妙見」の意味・わかりやすい解説

妙見 (みょうけん)

妙見菩薩の略。北極星を神格化したものといわれ,国土を守護し,災厄を除き,福寿を増益するという菩薩。尊星王,北辰菩薩ともいう。形像は一定しないが,二臂像,四臂像の形で,雲中に結跏趺坐する姿,青竜に乗る姿などに描かれる。天台宗園城寺(三井寺)では吉祥天と同体と説く。これを勧請し延命除災,とくに眼病平癒のため修する法を北斗七星法という。日本の妙見信仰は平安時代すでに行われていたとみられ,《日本霊異記》には妙見神が霊験を現した話が収められている。妙見菩薩が異形を現じて盗人をあらわしたという話と,海に漂流していたとき妙見菩薩を念じて助かった話がそれで,その信仰はかなり広まっていたとみられる。中世には武士の守護神として敬われ,千葉氏,相馬氏,大内氏など地方の豪族たちによって信仰されたが,これは北斗七星中の第七星が破軍星と呼ばれるところから,弓箭の神として崇拝されたことによる。鎌倉時代の末期に,日蓮宗が千葉氏の帰依を受けると,法華経寺(現,千葉県市川市)に妙見神が守護神として勧請され,寺領が寄進された。仏教信仰に属する妙見信仰が,妙見宮に鎮守神としてまつられるようになったのは,このころからであろう。その後,日蓮宗の寺院に多くまつられ,近世初頭に勧請された大阪府豊能郡能勢町にある真如寺妙見堂は,〈能勢妙見〉として広く名を知られている。現在の日蓮宗では,《法華経》を擁護する善神の一つとして,確かな地位を得ている。東京都墨田区業平にある法性寺は,境内の妙見宮が柳島の妙見として有名で,江戸の町人から熱狂的な信仰を集めた。妙見宮の前には影向松(ようごうのまつ)があり,妙見神がこの霊樹に降臨した日(1年に12回)には参詣者でにぎわった。日蓮宗寺院では毎月朔日(ついたち)が縁日とされ,洗米,神酒,菓子,花などを供えて,七星九曜二十八宿を供養することが行われ,星祭と呼ばれている。なお,現在も妙見社の多く分布する相馬地方では,勝善神と習合して牛馬の守護神となっており,熊本県八代市の妙見宮には中国より漂着したという伝説が伝わり,熊本県下の妙見社は水神的要素が強い。妙見社をまつる地域でカメを飼わないとされているのは,四神のうち北方守護神が,カメとヘビの合体した玄武であることによる。
北極星
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「妙見」の意味・わかりやすい解説

妙見
みょうけん

北極星すなわちこぐま座α星の仏教語。北辰妙見とも呼ばれる。妙見菩薩は,国土を守り貧窮を救う神で,北極星としてこの世に現れるという。仏像や絵画には,北極星をめぐる北斗七星が背景として加えられるために,しばしば妙見と北斗が混同される。北斗は天帝を守る剣であるという伝説から,妙見は武運を守ると信じられ,平将門,加藤清正など武将はこれを守り神とした。 (→北辰 )

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