希元素鉱物(読み)きげんそこうぶつ

改訂新版 世界大百科事典 「希元素鉱物」の意味・わかりやすい解説

希元素鉱物 (きげんそこうぶつ)

元素を主成分とする鉱物。ただし希元素の定義がないため,かなり習慣的な用語である。元素の周期表の下の方の元素は地表での存在度が一般に小さいが,それらのうちで,昔から人類が使用してきた元素は希元素には数えない。以下の鉱物などが希元素鉱物と呼ばれている。元素の周期表上でⅠA族の希アルカリ元素すなわちリチウム,ルビジウムセシウムの鉱物でリシア雲母lepidolite K(Li,Al)3(Si,Al)4O10(F,OH)2,ポルクス石pollucite(Cs,Na)2Al2Si4O12・H2O等。ⅡA族ではベリリウムの鉱物で緑柱石Be3Al2Si6O18等。ⅢA族では希土類元素の鉱物でモナザイトCePO4(Ceは軽希土類元素),ゼノタイムYPO4(Yはイットリウムおよび重希土類元素),アクチノイド元素の鉱物でトール石thorite ThSiO4センウラン鉱UO2等。ⅣA族ではジルコニウム,ハフニウムの鉱物でジルコンZrSiO4,ハフノンhafnon HfSiO4等。ⅤA族ではニオブ,タンタルの鉱物でコルンブ石columbite(Fe2⁺,Mn)Nb2O6,タンタル石tantalite(Fe2⁺,Mn)2Ta2O6等。ⅦA族ではレニウムの鉱物で自然レニウムRe等。Ⅷ族では軽白金族,重白金族とも地表での存在度は小さい。単体(イリドスミンのようなIr,Os合金),硫化物(ブラッグ鉱braggite(Pd,Ni)S)等として産するが希元素鉱物とはあまり呼ばれない。ⅢB族ではガリウムインジウムタリウムの鉱物でガリウム銅鉱gallite CuGaS2,インジウム銅鉱InCuS2,ロランド鉱(ロランダイト)lorandite TlAsS2,ⅣB族ではゲルマニウムの鉱物でゲルマン銅鉱germanite(ゲルマナイト)Cu3(Fe,Ge)S4等は希元素鉱物と呼んでもよいであろう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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