ルビジウム(読み)るびじうむ(英語表記)rubidium

翻訳|rubidium

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルビジウム」の意味・わかりやすい解説

ルビジウム
るびじうむ
rubidium

周期表第1族に属し、アルカリ金属元素の一つ。1861年、ドイツのキルヒホッフブンゼンは、紅雲母(うんも)試料の発光スペクトルを観測中、暗赤色領域に新しいスペクトル線を発見し、このスペクトルを示す新元素に、暗赤色を意味するラテン語rubidusにちなんでルビジウムの名を与えた。その後ブンゼンは、塩化物の融解電解によって金属単体を得ることに成功している。地殻中に少量ずつ広く分布しているが、ルビジウムの鉱石といったものはなく、紅雲母、長石カーナル石などのカリウム鉱中にセシウムとともに存在する。無水塩化ルビジウムを真空中でカルシウムによって熱還元する方法や、アジ化物の熱分解などの方法によって製造される。銀白色の軟らかい金属で、化学的性質はカリウムに似ているが、それよりは激しい。乾いた空気または酸素中では常温でも激しく反応し、超酸化物KO2を与える。水、アルコールとは水素を放って激しく反応する。合金としての重要な用途はなく、光電池の製造に少量利用される程度である。

[鳥居泰男]



ルビジウム(データノート)
るびじうむでーたのーと

ルビジウム
 元素記号  Rb
 原子番号  37
 原子量   85.4678±3
 融点    39.31℃
 沸点    688℃
 比重    1.53
 結晶系   立方

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルビジウム」の意味・わかりやすい解説

ルビジウム
rubidium

元素記号 Rb ,原子番号 37,原子量 85.4678。周期表1族,アルカリ金属の1つで,イオン化エネルギーが小さく,1価の陽イオンになりやすい。主要鉱物はリシア雲母,トリフィル石,黝輝石などで,地殻に広く分布する。平均含有量 90ppm,海水中の存在量 0.12 mg/l 。 1861年 R.ブンゼンと G.キルヒホフによりリシア雲母中から分光分析法により発見された。単体はカリウムに似た銀白色金属で,融点 38.5℃,比重 1.53。非常に活性で,水を激しく分解して水素を発生する。液体アンモニアに溶け,アミドを生じ,水銀とはアマルガムを形成する。用途は広くなく,光電池の製造に利用される程度である。

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