日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルビジウム」の意味・わかりやすい解説
ルビジウム
るびじうむ
rubidium
周期表第1族に属し、アルカリ金属元素の一つ。1861年、ドイツのキルヒホッフとブンゼンは、紅雲母(うんも)試料の発光スペクトルを観測中、暗赤色領域に新しいスペクトル線を発見し、このスペクトルを示す新元素に、暗赤色を意味するラテン語rubidusにちなんでルビジウムの名を与えた。その後ブンゼンは、塩化物の融解電解によって金属単体を得ることに成功している。地殻中に少量ずつ広く分布しているが、ルビジウムの鉱石といったものはなく、紅雲母、長石、カーナル石などのカリウム鉱中にセシウムとともに存在する。無水塩化ルビジウムを真空中でカルシウムによって熱還元する方法や、アジ化物の熱分解などの方法によって製造される。銀白色の軟らかい金属で、化学的性質はカリウムに似ているが、それよりは激しい。乾いた空気または酸素中では常温でも激しく反応し、超酸化物KO2を与える。水、アルコールとは水素を放って激しく反応する。合金としての重要な用途はなく、光電池の製造に少量利用される程度である。
[鳥居泰男]