ジルコン(読み)じるこん(英語表記)zircon

翻訳|zircon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジルコン」の意味・わかりやすい解説

ジルコン
じるこん
zircon

錐(すい)面の発達した正方柱状結晶で、単結晶あるいは放射状集合体をなす鉱物。粒状ないし塊状をなすこともある。火成岩副成分鉱物として広く産する。花崗(かこう)岩ペグマタイト中のものは放射性元素を含んでおりメタミクト状態(一種非晶質状態)になっていることがある。ほかに変成岩の副成分鉱物として、また堆積物(たいせきぶつ)中に重鉱物として濃集することもある。透明で美しい色をしたものは宝石として利用される。語源アラビア語のzarqunであり、これは金色を意味するペルシア語に由来していると考えられている。

松原 聰]



ジルコン(データノート)
じるこんでーたのーと

ジルコン
 英名    zircon
 化学式   ZrSiO4
 少量成分  Hf,U
 結晶系   正方
 硬度    7.5
 比重    4.7*
 色     褐,緑,黄,赤
 光沢    ガラス金剛**
 条痕    白
 劈開    二方向に不明瞭
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   *メタミクト状態のものでは3.6~
       4.0
       **メタミクト状態のものでは光沢も
       弱く,不透明となる

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジルコン」の意味・わかりやすい解説

ジルコン
zircon

ZrSiO4ジルコニウムケイ酸塩鉱物正方晶系。比重 4.6~4.7,硬度 7.5。ダイヤモンドに次いで光学的分散が大きく,美晶は装飾用宝石として好まれる。色は赤褐色,黄色,緑色,青色などで,薄片は一般に無色透明。種々の深成岩中に副成分鉱物として産する。ジルコニウムの一部がウランやトリウムで置換されている場合は,放射線損傷のため結晶構造が破壊され,完全に破壊されるとX線に対しても可視光線に対しても,非晶質と同様になるなど,物理的性質が変化する。この性質を利用して,鉱物の絶対年代の測定が可能である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報