平野北条・平野南条(読み)ひらのほうじよう・ひらのなんじよう

日本歴史地名大系 「平野北条・平野南条」の解説

平野北条・平野南条
ひらのほうじよう・ひらのなんじよう

和名抄」にみえる餝磨しかま平野郷の郷名を継承したとみられる地名平野庄・平野村などの記載もある。広嶺ひろみね山南麓の現姫路市北平野地区を中心とした一帯に比定される。平野には元明天皇御願の東院と崇峻天皇御願の西院があったといい、永仁(一二九三―九九)末頃には京都東福寺門徒が播磨国で最初の禅寺法覚ほうかく寺を建立したという(峯相記)。建長元年(一二四九)八月日の播磨国留守所符案(正明寺文書)称名しようみよう(正明寺)領として「平野北条」一町三反四〇代・「平野南条」八反がみえる。両者はもと在庁別名国衙進止地であったが、後嵯峨法皇菩提所の称名寺に寄進されたもので(元弘三年七月日「称名寺寺僧等文書紛失状」同文書)、年未詳九月二〇日の沙弥光阿書状(同文書)に「平野北条右一条十四(坊)十七坪」とあるように、古代条里制を色濃く残した地名である。

正和五年(一三一六)六月二四日、後伏見上皇は「平野庄」に悪党が乱入し、庄家に立籠って狼藉を行っていると鎌倉幕府に訴え(「後伏見上皇院宣案」東大寺文書)、同年七月一三日には幕府が悪党を捕らえるように糟谷氏に命じている(「六波羅御教書案」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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