狼藉(読み)ロウゼキ

デジタル大辞泉 「狼藉」の意味・読み・例文・類語

ろう‐ぜき〔ラウ‐〕【××藉】

《「史記」滑稽伝による。おおかみは寝るとき下草み荒らすところから》
[名]無法な荒々しい振る舞い。乱暴な行い。「狼藉を働く」「乱暴狼藉
[ト・タル][文][形動タリ]物が乱雑に取り散らかっているさま。「落花狼藉たる公園」
「杯やお膳や三味線などの―としたなかにすわって」〈倉田出家とその弟子
[類語]暴行愚行愚挙非行乱行醜行暴力蛮行極道乱暴無法暴状暴挙・腕力沙汰ざた荒くれ粗暴凶暴狂暴猛悪野蛮しっちゃかめっちゃかはちゃめちゃ乱雑雑然乱脈紛然紛紛繚乱蕪雑ぶざつ卍巴まんじともえ不統一ごっちゃごちゃまぜごちゃごちゃごしゃごしゃごじゃごじゃごたごためちゃくちゃまぜこぜ支離滅裂かなえの沸くが如し上を下へ蜂の巣をつついたよう押すな押すな押し合いへし合い混乱錯綜錯乱混沌錯雑交錯混線混同混交混迷ごた混ぜどさくさこんがらかる紛れる

ろう‐じゃく〔ラウ‐〕【××藉】

狼藉日」の略。
ろうぜき(狼藉)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「狼藉」の意味・読み・例文・類語

ろう‐ぜきラウ‥【狼藉】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動ナリ・タリ ) ( 「狼」はみだれる・もとる、「藉」は乱雑なさまの意。一説に、狼が草を藉(し)いて寝たあとの乱れていることによるともいう )
  2. 多くの物が散乱していること。秩序なく入り乱れていること。とりちらかしてあること。また、そのさま。乱雑。ろうじゃく。
    1. [初出の実例]「狼藉汙穢、還恐触塵聖眼」(出典:性霊集‐四(835頃)進悉曇等書表)
    2. 「野分はしたなうふひて、紅葉みな吹ちらし、落葉頗る狼藉なり」(出典:平家物語(13C前)六)
    3. [その他の文献]〔史記‐滑稽伝・淳于髠〕
  3. 無法な態度や行為をすること。乱暴をはたらくこと。また、そのさまやそのようなふるまい。非道。無法。無礼。不埒。ろうじゃく。
    1. [初出の実例]「家奴一人依事狼藉陳可掩門戸之由」(出典:権記‐長保二年(1000)七月二六日)
    2. 「これは近頃狼藉なる者にて候ふ。追っ立てうずるにて候」(出典:謡曲・鞍馬天狗(1480頃))
    3. [その他の文献]〔後漢書‐張伝〕
  4. ろうじゃく(狼藉)

ろう‐じゃくラウ‥【狼藉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ろうぜき(狼藉)
    1. [初出の実例]「狐狼・野干、咀嚼践し、死屍齧して、骨肉、狼藉(ラウジャク)(〈注〉ミダレガハシ)なり」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)二)
  3. ろうじゃくにち(狼藉日)」の略。
    1. [初出の実例]「大禍・滅門・狼藉・没日は四箇の悪日」(出典:御伽草子・鴉鷺合戦物語(続類従所収)(室町中))

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世界大百科事典(旧版)内の狼藉の言及

【苅田狼藉】より

…イェーリングも自力救済は単なる力ずくの権利の回復であって,素朴な正義に深く根ざした実力行使として秩序ある司法制度と調和する必然性があると説いている。しかし,日本では鎌倉後半期より,対抗する相手があって,幕府に訴えたときは,判断の未済の間にする実力行使として,社会秩序を乱すため〈狼藉〉と呼ばれるようになり,1310年(延慶3)以来処罰の対象とされた。これ以後〈苅田〉という行為は単なる暴力行為と混同され,個人の権利の正当性の認定権はしだいに幕府に奪取されるようになり,この制度は室町幕府に継承された。…

※「狼藉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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