幼児虐殺(読み)ようじぎゃくさつ(その他表記)Massacre of the Innocents

改訂新版 世界大百科事典 「幼児虐殺」の意味・わかりやすい解説

幼児虐殺 (ようじぎゃくさつ)
Massacre of the Innocents

新約聖書マタイによる福音書》2章16~18節に見られるイエスの幼児期に関する物語。嬰児(えいじ)虐殺ともいう。ベツレヘムにユダヤ人の王となる救世主が生まれたことを知ったヘロデ大王は,それを確かめるため,東方から来た三博士を遣わす。幼児イエスを拝んだ博士たちは夢のお告げヘロデ悪意を知ると,彼のもとには戻らずにそのまま故国に帰る。博士たちに裏切られた王は激怒し,ベツレヘムとその周辺地方の2歳以下の男児を一人残らず殺害したが,イエスとその家族は,ヨセフの夢にあらわれた天使のお告げに従い,虐殺の前にエジプトに逃れ,ヘロデが死ぬまでそこにとどまった。

 美術においては,ヘロデが虐殺を指示し,兵士が悲嘆にくれる母親たちの手から幼児を奪い取り殺戮を行う場面として表される。ジョット(パドバ,スクロベーニ礼拝堂壁画),P.ブリューゲル,N.プッサンルーベンスなどに作例がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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