動物の食物の選択範囲が広いことをいい、狭食性の対語。動物性の食物と植物性の食物をあわせて食べるいわゆる雑食性のほか、多種類の動物あるいは植物を食べる場合がこれにあたる。一般にこの性質を示す動物は、餌(えさ)となる生物相の変化に耐える力があるといわれているが、一方、同じ食物に対する狭食性動物との競争においては不利であると考えられる。つまり、環境変化や他種の動物がいることによって食物が変化し、選択の範囲が狭められることもある。たとえば樹木の葉、若芽、草を食べるシカや、昆虫のほか、木の実も食べるヒヨドリ、魚からエビ、カニや水生昆虫も食べるウナギなどがこの性質を示す動物に含まれる。
[高村健二]
… これとは別に,食べている生物の種類の多少に着目した食性の分け方もある。それは,単食性monophagous(ただ1種の生物しか食べない),狭食性stenophagousまたは少食性oligophagous(少数種の生物を食べる),広食性euryphagousまたは多食性polyphagous(多数種の生物を食べる)という区分であって,動物生態学では重要な概念である。 なお,食性と採食習性,つまり何を食べるかと,どうやって食べるかは,基本的には別の問題だが,しばしば混同されている。…
※「広食性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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