翻訳|biota
ビオタ,バイオタともいう。ある地方に生息する動・植物の種類組成をさす。動・植物に分けて動物相,植物相,さらに類別して,鳥相,哺乳類相,昆虫相,あるいは環境別にとらえて,森林動物相,ブナ林鳥類相,また潮間帯生物相などと限定できる。生物相は,何が(種類),どこに(地理分布),どんな環境に(生態分布),どのくらい(密度,生物量)いるかを明らかにし,さらに食物連鎖などによる群集構造としての把握,その系列におけるエネルギーの流れ(群集経済),種間の社会関係(群集機能)などの分析に進むために不可欠の基礎データである。
地球上の生物相については,異なる地方においても生物相が似ていれば群集構造もほぼ併行する。しかし,異なる生物地理区では,その生態的地位は系統の異なる種類によって置き換えられる。熱帯に近いほど生物相は種類が豊富で,北方ほど種類ごとの個体数は多い。森林生物相は草原などの他の生物相より多層的で生産量も多い。熱帯ほど生物相は定着的で北方ほど季節変動(鳥類の渡りなど)が多いといった一般的現象がみられる。
執筆者:黒田 長久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一定の場所、あるいは同一の環境にすむ動物、植物、および微生物の全種類をさしていう。生物相には、種類相互の関係や環境との関係といった意義は含まれず、場所あるいは環境の範囲は任意に設定できる。たとえば、日本の生物相、琵琶湖(びわこ)生物相は場所を単位としたもので、針葉樹林の生物相、土壌生物相は環境を主眼に置いたものである。また生物相には、一般に生物の個体数や優占度といった量的評価も含まれていない。生物群集や生態系にかかわる生態学にとっては、生物相調査は重要である。しかし、主として分類学上の困難さから、小地域についてさえも全生物相を明らかにするのはきわめてむずかしい。生物相は、普通、ファウナ(動物相)、フロラ(植物相)、ミクロビオタ(微生物相)に分けることができる。生物相の違いは、気候などの非生物的要因、植生などの生物的要因、地史的・地理的要因などによって生じる。
[谷田一三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…18世紀から19世紀を通じて,地域生物群の調査は生物学の主要な目標であった。その中で,地域ごとに生物群の種類の組合せには似かよりの程度がさまざまだが,それらを比較するとよく似た生物種の集合が認められる地域があることが認識され,生物相の区系概念が形成された。また,かけ離れた地域間に,目だって類似した種の組合せの生物群が分布している現象も見いだされた。…
※「生物相」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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