朝日日本歴史人物事典 「庄司勝富」の解説
庄司勝富
江戸中期の町人。通称を又左衛門,俳名を叙乂,道恕と号した。江戸吉原の開祖庄司甚右衛門6代の後裔で,新吉原江戸町1丁目の妓楼西田屋を経営し,同町の名主を務めるかたわら,俳諧や詩作に親しんだ。元文3(1738)年自作を中心に廓内の遊女や住人,親交のあった俳人,絵師,詩人らの作や,古老の茶飲み話を集めて,『洞房語園』(前集3冊,後集1冊)を刊行した。また同名ながら内容の異なる一本が写本で伝わっており,一般にはこれを『異本洞房語園』(1720)と呼んで区別するが,本書は吉原創設以来の歴史や制度,風俗,習慣などの聞書で,『新吉原町由緒書』とともに吉原史料として珍重された。
(宇田敏彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報