最終の年忌のこと。〈問い切り〉ともいう。最終年忌を17年目か33年目とするところが多い。まれには百回忌などをするところがある。現在では,一般に死者を知る人がなくなったときが弔い上げのときである。〈五十回忌をする者は不幸な人〉というのはこの意味である。弔い上げが終わると枝葉のついた杉やシイや松の木の下を削り,そこへ戒名などを書いて墓に立てるところがある。伊賀地方では墓石への墓参も五十回忌までで,あとは無縁仏として墓石を倒して放置する。長崎県の小値賀島では位牌を仏壇から撤して墓に納める。対馬の濃部でも三十三回忌がすむと位牌を寺に納めて,以後はまつることはしないという。津軽地方では仏流しといって川に流し,墓にマタカリトウバを立てる。これをカミアガリともいう。筑前の地島でも弔い上げがすめばカミになるという。また,長野県上伊那郡朝日村(現,辰野町)では死者が鳥になって天にのぼると伝えている。
執筆者:田中 久夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…インドのトダ族,コタ族やアフリカ諸族に見られる二重葬(複葬)の慣行は,埋葬後一定期間をおいて改めて骨の処置を行うものだが,これは死霊を祖霊化させるための儀礼と目され,沖縄の洗骨もその例であるといえよう。日本の三十三回忌の弔い上げも死霊の祖霊化のための儀礼である。死霊はなまなましく荒々しい存在で,縁ある生者が適切に扱わないとたたりをもたらすとされる。…
…また杉にははし(箸)やつえが成長したというはし杉やつえ杉の伝説のほか,峠などには弓を射て境を画定した跡とされる矢立杉の伝説もある。このほか,三十三回忌がすむと弔い上げに杉葉のついた生木の塔婆を墓にたて,死者が神になった印とする。杉は神聖視されたため,屋敷に植えたり垣を作ると,家が滅びるとか福が入らないといって嫌われ,また杉が立枯れしたりすると災難や変事が起こる前兆とみられた。…
…通常は三十三回忌で終わるが,真宗地帯では五十回忌,百回忌もしている。最終年忌を〈弔い上げ〉といい,これ以後,仏事をすることがない。年忌は持統天皇の時以来記録に出てくる。…
…各地の屋敷神のなかには,開発先祖あるいは遠祖をまつったとする伝承をもつものがある。さらにその家の死者が三十三年忌あるいは五十年忌の弔い上げをすますと屋敷神になる,と伝える土地もある。このように屋敷神に祖霊(それい)的性格が認められる点は注意を要する。…
※「弔い上げ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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