デジタル大辞泉 「引違える」の意味・読み・例文・類語 ひき‐ちが・える〔‐ちがへる〕【引(き)違える】 [動ア下一][文]ひきちが・ふ[ハ下二]1 入れ違いになる。「お吉嬉しく頼み置きて帰れば、其後あとへ―・えて来る源太」〈露伴・五重塔〉2 交差させる。「紙を二枚―・へて包みたれば」〈宇治拾遺・四〉3 間違える。取り違える。「わざと―・へて、京中の道々の物の上手ども、独りも残さず皆引具して」〈太平記・三九〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「引違える」の意味・読み・例文・類語 ひき‐ちが・える‥ちがへる【引違】 [ 1 ] 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙 [ 文語形 ]ひきちが・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 「ひき」は接頭語。室町時代頃からヤ行にも活用した )① ちがうようにする。まちがえる。とりちがえる。[初出の実例]「関白殿はもとよりの御ことなれば、内裏に御しこうなり、左大臣殿は又引(ヒキ)ちがへて仙洞に御しこうあり」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)上)② 交差させる。うちちがいにする。[初出の実例]「むないたの金物のすこしはづれてみえけるを、かくさうど、頻に衣のむねを引ちがへ引ちがへぞし給ひける」(出典:平家物語(13C前)二)③ 着物の衿を合わせて着る。[初出の実例]「三江をえりの如に引ちかへてきよよ」(出典:古文真宝彦龍抄(1490頃))④ 取りかえる。[初出の実例]「その大夫の紋をつけて、芥子鹿子、摺縫の手をつくし、引ちがへて、これを着る」(出典:仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)六)[ 2 ] 〘 自動詞 ア行下一(ハ下一) 〙 [ 文語形 ]ひきちが・ふ 〘 自動詞 ハ行下二段活用 〙 入れちがいになる。ひきちがう。[初出の実例]「我は又引ちがへて此さうどうのまぎれに、師直があそびゐる花川やが座敷へおしかけ」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)三) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例