弟姫・乙姫(読み)おとひめ

精選版 日本国語大辞典 「弟姫・乙姫」の意味・読み・例文・類語

おと‐ひめ【弟姫・乙姫】

[1] 〘名〙
① 妹の姫。おとむすめ。⇔兄姫(えひめ)
※古事記(712)中「旦波の比古多多須美智宇斯王の女、名は兄比売(えひめ)、弟比売(おとヒメ)
② 年若く美しい姫。
肥前風土記(732‐739頃)松浦・歌謡「篠原の 意登比売(オトヒメ)の子を さ一夜(ひとゆ)も 率寝てむ時(しだ)や 家にくださむ」
海底の龍宮に住むという伝説上の美しい姫。
※玉塵抄(1563)四九「龍宮の乙(ヲト)ひめなどの出池のをもに遊て」
[2] 歌舞伎所作事。
[一] 富本。二世瀬川如皐(じょこう)作詞。二世名見崎徳治作曲。本名題「拙筆力七以呂波(にじりがきななついろは)」。文政一一年(一八二八)江戸中村座初演。二世中村芝翫の七変化の一つ。乙姫浦島の跡を恋い慕う所作。
[二] 長唄。西沢一鳳(いっぽう)作詞。杵屋文之助作曲。本名題「四季写土佐絵拙(しきうつしとさえのふつつか)」。弘化四年(一八四七)江戸市村座初演。四世市川小団次の七変化の一つ。富本の模倣作。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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