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乙姫 おとひめ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

乙姫
おとひめ

本来は,兄姫 (えひめ) が姉の姫をさすのに対して,妹の姫をさす弟姫 (おとひめ) を意味する言葉であった。一般にそのような名で呼ばれる女は,おおむね若くて美しい姫のように受取られて,しばしば竜宮に住む者とみられている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

乙姫 おとひめ

昔話・伝説の登場人物
兄姫(えひめ)に対する妹,弟姫(おとひめ)が本来の意味とされる。昔話の「浦島太郎」「猿の生き肝」では竜宮城の美しい姫として,また説経浄瑠璃(じょうるり)「信徳丸」では長者の娘として登場する。

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朝日日本歴史人物事典の解説

乙姫

竜宮城に住む海神の娘乙姫は,よく知られているが,姉妹のうち妹姫をさしたり,末の姫という場合もある。年が若く美しい女性の意味がこめられている。海神の娘が住む竜宮城は,海底にあり,陸上の住民にとっては異界である。そこを訪れた浦島太郎は,乙姫と結ばれるが,結局は別れる運命にある。海神は竜神であり,乙姫が人間界にくれば蛇身の姿にならざるを得ないのである。説経節「信徳丸」に出てくる乙姫は長者の娘で,癩に冒され,盲目となりさすらう信徳丸を看護して救った。ここでは,病気を治す,呪的な力を持つ若く美しい女性のイメージがあり,旅の巫女がひとつのモデルとなっている。

(宮田登)

出典|朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版
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世界大百科事典 第2版の解説

おとひめ【乙姫】

元来は姉の姫(兄姫(えひめ))に対する妹の姫(弟姫(おとひめ))を指す呼称。《古事記》に〈三野国造の祖,大根王の女,名は兄比売,弟比売の二人の嬢女(おとめ),其の容姿麗美(かたちうるは)しと聞し定めて〉とある。また末の姫とか,年若く美しい姫の意がある。竜宮に住むという〈乙姫〉や,説経《信徳丸》に出てくる〈乙姫〉のように固有の名となっているものもある。説経《信徳丸》の乙姫は和泉国近木荘の長者の娘だが,癩に冒されて姿を消した信徳丸をたずねて,一転して巡礼姿に身をやつし熊野街道を往還する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

乙姫
おとひめ

伝説昔話「浦島太郎」の女主人公。竜宮城の美女。浦島が亀(かめ)の報恩によって海底を訪問した際に接待をした。昔話「猿の生き肝(海月(くらげ)骨なし)」でも竜宮の主(あるじ)としているし、伝説「機織淵(はたおりぶち)」でも水底で機織りをする。これらは水神に仕える巫女(みこ)が、水神そのものに変化したもの。姉に対する弟姫(おとひめ)(末娘)が原義。弟日姫子(おとひめこ)に同じ。[渡邊昭五]

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世界大百科事典内の乙姫の言及

【信徳丸】より

…古説経の一つで上中下の3巻から成る。河内国高安郡信吉(のぶよし)長者の一子信徳丸は,継母の呪いを受けて癩になり,天王寺の南門念仏堂に捨てられるが,いいなずけの乙姫の献身と清水観音の利生(りしよう)によりもとの身によみがえるというのがその内容である。天王寺西門(さいもん)の前の引声(いんぜい)堂(念仏堂)や後(うしろ)堂にたむろした説経師によって語られたもので,業病におかされた信徳丸を抱きとり,天王寺七村を袖乞い(そでこい)する乙姫の姿は最も印象に残る。…

【玉手御前】より

…河内の国主の後妻で,嫡子俊徳丸に恋慕し,かなわぬと毒酒をすすめて癩病にしてしまった玉手御前は,不義を怒った父に刺されて死ぬ間際に,実は妾腹の兄の陰謀から俊徳丸を守るための策であったことを語り,みずからの生血を飲ませて俊徳丸の病をなおす。玉手の人物像には,説経《信徳丸》の乙姫や《愛護若(あいごのわか)》の雲井の前のイメージが重なっている。継母の呪いを受けて業病にかかった信徳丸を献身と庇護の愛によってよみがえらせた乙姫の巫女的な力と,愛護の若に継母でありながら激しく恋慕し,死後大蛇となってその思いをとげた雲井の前の執念とが,玉手のなかに生かされて,矛盾しながらも,きわどく統一された女性像として形象されている。…

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