普及版 字通 「弥(漢字)」の読み・字形・画数・意味
弥
常用漢字 8画
(旧字)彌
人名用漢字 17画
(異体字)
21画
[字訓] ひさしい・いよいよ
[説文解字]
[字形] 会意
正字はに作り、長+爾(じ)。〔説文〕九下に「久長なり。長に從ひ、爾聲」とするが、声が合わず、長は長髪の象。金文に字をに作り、弓と日と爾とに従う。弓は祓邪の呪具として用いられ、日は珠玉の形。爾は婦人の上半身に文身(絵文(かいぶん))を施している形。これによってその人の多祥を祈る意であろう。ゆえに金文に「考命彌生(びせい)」のようにいう。金文の〔(そはく)〕に「用(もつ)て考命生ならんことを求む」、〔(さいきつき)〕に「厥(そ)の生を(をふ)るまで、(れいしゆう)(霊終)ならんことを」のように用いる。はおそらく後の譌字。〔説文〕はその字によって説をなしている。
[訓義]
1. ひさしい。
2. ひさしきにわたる、おわる、あまねく、きわめる。
3. ひろい、とおい、おおきい、ふかい。
4. みちる、みたす、おおう。
5. いよいよ、ますます。
6. 縻(び)と通じ、つなぐ、とめる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕彌 ミツ・カサナル・ツヒニ・ヘテ・フカシ・メヅラシ・ナムチ・アカシ・ヲハル・ヲヘテ・オホフ・ヒロシ・ツク・アフ・コトコトニ 〔立〕弥 オホキニ・ヲハシ(ル)・カサヌ・ミツ・トホシ・ノボル・ワタル・ツヒニ・アマネシ・ヒサシ・ヒロシ・ツクス・コトゴトク・ヲホル・マサル・アフ・イヨイヨ・フカシ・キハム・ハル・メヅラシ・コトゴトクニ/彌 ヲハル
[語系]
彌miai、miei、弭mieは声近く、(び)は〔爾雅、釈言〕に「撫するなり」、弭は弭兵・弭乱のように用いて、抑止の意がある。彌の初形が婦人の霊を安んずる安撫の礼であることと、字義に通うところがある。また、縻miuaiも声近く、からみまとう意。みな一系をなす語であろう。
[熟語]
弥遠▶・弥期▶・弥久▶・弥襟▶・弥月▶・弥亙▶・弥曠▶・弥侈▶・弥日▶・弥旬▶・弥盛▶・弥節▶・弥増▶・弥天▶・弥道▶・弥年▶・弥弥▶・弥靡▶・弥補▶・弥縫▶・弥望▶・弥漫▶・弥満▶・弥▶・弥離▶・弥隆▶・弥留▶・弥綸▶・弥歴▶
[下接語]
沙弥・須弥
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報