日本大百科全書(ニッポニカ) 「張高麗」の意味・わかりやすい解説
張高麗
ちょうこうれい / ジャンガオリー
(1946― )
中国の政治家。福建(ふっけん)省出身。江沢民(こうたくみん)派のメンバーだが、習近平(しゅうきんぺい)とも親密な関係にあるとされる。福建省の貧しい農家に生まれ、3歳のときに父親と死別し、苦学して1970年に厦門(アモイ)大学経済学部を卒業。広東(カントン)省の国有系石油会社に就職し、主任、課長、副社長、社長と出世を重ねた。1985年に広東省経済委員会主任に任命され官僚に転出した。1997年に経済特区である深圳(しんせん)市党委員会書記に就任、2002年から山東省長、2007年に天津(てんしん)市党委員会書記など地方指導者の経験を重ねる。出身地である福建省と密接な関係にある台湾企業を積極的に誘致し、広東と山東で両省の経済発展のため大きな実績を残した。天津市党委員会書記在職中は同市の1人当りの域内総生産(GDP)を国内トップに引き上げるなど、党中央から高い評価を得た。2012年秋の指導部人事で、序列第7位の党中央政治局常務委員となる(~2017)。2013年3月に国務院筆頭副総理(副首相)に就任し、2018年3月まで務めた。経済問題で規制緩和を推進する改革派だが、政治改革には消極的で、保守派に近いとされる。
[矢板明夫 2019年4月16日]