影が射す(読み)カゲガサス

デジタル大辞泉 「影が射す」の意味・読み・例文・類語

かげ・す

姿や影法師がちらっと見える。また、そこに現れる。「うわさをすれば―・す」
よくないことなどが起こりそうな気配がする。物事先行が怪しくなる。「戦争の―・す」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「影が射す」の意味・読み・例文・類語

かげ【影】 が 射(さ)

  1. ( 「かげ」は光の意 ) 光が照らす。
    1. [初出の実例]「春高楼の花の宴 めぐる盃かげさして」(出典:唱歌・荒城の月(1901)〈土井晩翠〉)
  2. ( 「かげ」は姿の意 ) 人の姿、影法師などがちらっと現われる。
    1. [初出の実例]「兄の名前を見た時、健三の頭に不図(ふと)又御縫(おぬひ)さんの影(カゲ)が差(サ)した」(出典道草(1915)〈夏目漱石〉二三)
  3. 光が物にさえぎられて、その物の黒い形ができる。
    1. [初出の実例]「二十五年にして明暗は表裏の如く、日のあたる所には屹度影がさすと悟った」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉一)
  4. 病気の徴候が現われる。
    1. [初出の実例]「痛むが道理いづかたも落馬がはやるやら、生駒新五左がおこりも、妙薬一服でかげもささず落馬いたす」(出典:浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上)
  5. 物事に、あるかすかなしるしが現われる。多く、不安、不吉の徴候にいう。
    1. [初出の実例]「勇敢な事業家にも何所(どこ)か衰への影がさした」(出典:老人(1911)〈志賀直哉〉)

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