心の闇(読み)ココロノヤミ

デジタル大辞泉 「心の闇」の意味・読み・例文・類語

こころ‐の‐やみ【心の闇】

心の平静を失って、理非分別がつかなくなること。
「よもすがら月を見顔にもてなして―に迷ふころかな」〈山家集・中〉
親が子を思う情に引かされて迷う心。
「―晴れ間なく、嘆きわたり侍りしままに」〈松風

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精選版 日本国語大辞典 「心の闇」の意味・読み・例文・類語

こころ【心】 の 闇(やみ)

  1. 煩悩(ぼんのう)に迷う心を闇にたとえていう。思い惑って理非の分別を失うこと。
    1. [初出の実例]「かきくらす心のやみにまどひにきゆめうつつとは世人(よひと)さだめよ〈在原業平〉」(出典古今和歌集(905‐914)恋三・六四六)
  2. ( 「後撰‐雑一」の「人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな〈藤原兼輔〉」から ) 特に、子に対する愛から理性を失って迷う親心をいう。子ゆえの闇。
    1. [初出の実例]「くれまどふ心のやみも堪へがたき片端をだに、はるく許に聞えまほしう侍るを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)

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