心肝(読み)ココロギモ

デジタル大辞泉 「心肝」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ぎも【心肝/心胆】

心の中。
「いとど―もつぶれぬ」〈浮舟
思慮。考え。才覚
「―なく、相思ひ奉らざりしものを強ひて使ひ給ひて」〈落窪・二〉

しん‐かん【心肝】

心臓肝臓。転じて、こころ。心の底。「心肝に徹する」「心肝を寒からしめる」

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精選版 日本国語大辞典 「心肝」の意味・読み・例文・類語

しん‐かん【心肝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 心臓と肝臓。
    1. [初出の実例]「喩へば心肝に痛みある時、全体の血汁そこに集りて」(出典:ぎやどぺかどる(1599)上)
    2. [その他の文献]〔李白‐冬日於龍門送従弟序〕
  3. こころ。まごころ。心の底。心胆(しんたん)
    1. [初出の実例]「毎此念、心肝如裂」(出典:続日本紀‐養老五年(721)五月壬子)
    2. 「人の心肝が見ゆるならば、法成就したと思はしゃれい」(出典:盤珪仏智弘済禅師御示聞書(1688‐1704頃)上)
    3. [その他の文献]〔曹丕‐燕歌行〕

こころ‐ぎも【心肝・心胆】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「こころきも」か )
  2. 内臓としての、心と肝。転じて、心。胸中。魂。きもごころ。
    1. [初出の実例]「『まじらへば、心きもやすからぬ事』とこそは泣き給ふなれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  3. 思慮。考え。
    1. [初出の実例]「心きもなく相思ひ奉らざりし物を、強ひてつかひ給ひてと、三の宮をいみじく宣ふ」(出典:落窪物語(10C後)二)

心肝の補助注記

「心肝砕けて」〔今昔‐一〇〕のように「心砕けて」と「肝砕けて」を併せたと思われる例や、「心騒ぎ肝迷て、泣々悔ひ悲む事无限し」〔今昔‐九〕のように対句的に用いられる例があること、これらと同様の表現が、語構成が逆の「きもごころ」にも見られることなどから、「こころ」と「きも」との並列名詞と考えられる。

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普及版 字通 「心肝」の読み・字形・画数・意味

【心肝】しんかん

こころ。心胆。〔晋書、劉曜載記〕親(みづか)ら陳安を征す。~其の死するにんで、上に之れを歌うて曰く、上の壯士に陳安り 幹(くかん)小なりと雖も、腹中(ひろ)し 將士を愛して、心肝を同じうす~西の水、東の河 一たび去りてらず、子(し)を奈何(いかん)せんと。

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