志那村(読み)しなむら

日本歴史地名大系 「志那村」の解説

志那村
しなむら

[現在地名]草津市志那町

吉田よしだ村の西、琵琶湖に臨む。内湖であるひら湖・柳平やなぎひら湖や多くの水路があり、肥沃な水田地帯。品村とも記し、下志那村とも称された。志那三郷のうち。守山と志那街道(長束道)で結ばれ、志那湊があった。同湊は草津川と野洲やす川の間に位置して洪水の影響も受けにくく、早くから湖上交通の要衝とされた。大津京が造営された時期に前後して当地一帯には寺院が数多く築かれており、当時すでに湊があったとも推測される。「源平盛衰記」巻二八に「志那今浜を浦伝ひ」とみえ、木曾義仲追討軍が通過している。建武三年(一三三六)正月には北畠顕家軍が志那浜から船で坂本へ渡り(「太平記」巻一五)、同年九月には足利尊氏に追われ、同浜から美濃尾張へ逃れようとした延暦寺の衆徒と京極導誉軍とで戦闘があった(同年一〇月一日「田代顕綱軍忠状」田代文書など)。長享元年(一四八七)足利義尚六角征伐にあたり、細川政元の被官物部が当地を焼いている(「親長卿記」同年九月二〇日条)。同年一二月、三条西実隆が志那渡を利用して坂本から蓮台れんだい(現栗太郡栗東町)の正親町三条実望を訪れた(「実隆公記」同月二日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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