改訂新版 世界大百科事典 「応仁記」の意味・わかりやすい解説
応仁記 (おうにんき)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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室町時代後期の戦記物。流布本は3巻3冊。作者、成立年ともに不明。応仁の乱の経過を『太平記(たいへいき)』に倣って叙述したものであるが、文学的価値は低い。本編は「乱前御晴之事」以下30段に分かれ、乱の原因とみられた将軍足利義政(あしかがよしまさ)の失政から筆を進め、1473年(文明5)に山名持豊(やまなもちとよ)が死去する条(くだり)までを内容とする。戦記物だけに史料的価値は全面的には信用できない。しかし、原形は乱当時の記録をもとにして記されたと考えられ、幾度か転写の段階での潤色が認められるものの、他の戦記類に比すれば概して信憑(しんぴょう)性は高いと推定される。最古の写本は竜門文庫所蔵の永禄(えいろく)6年(1563)の奥書のあるもので、寛永(かんえい)古活字本は各地に残存している。『群書類従』合戦部に収録。
[今谷 明]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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