思人(読み)おもうひと

精選版 日本国語大辞典 「思人」の意味・読み・例文・類語

おもう【思】 人(ひと)

  1. 気の合っている人。親しい人。
    1. [初出の実例]「鶉鳴く古りにし里の秋萩を思人(おもふひと)どち相見つるかも」(出典万葉集(8C後)八・一五五八)
  2. 自分の恋しく思っている人。いとしい人。恋人
    1. [初出の実例]「念人(おもふひと)来むと知りせば八重葎(やへむぐら)おほへる庭に珠敷かましを」(出典:万葉集(8C後)一一・二八二四)
  3. 自分をいとしく思ってくれる人。かわいがってくれる人。父母などの肉親をいうことが多い。
    1. [初出の実例]「ちひさき人は、ただおもふ人にむつるるものなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)

おもい‐びとおもひ‥【思人】

  1. 〘 名詞 〙 自分が恋しく思う人。自分が思いをかけている相手。恋人。愛人後世では側室、妾(めかけ)の意に多く用いる。おもいもの。
    1. [初出の実例]「心地などのむつかしき頃、まことまことしき思ひ人の言ひ慰めたる」(出典:枕草子(10C終)二六五)

おもわせ‐びとおもはせ‥【思人】

  1. 〘 名詞 〙 ( 他人に自分のことを思わせるような人の意 ) 他人からしきりに思われる人。他人に慕われる人。
    1. [初出の実例]「中務の親王、当代の宮にて、世のおもはせ人のもてなし給ふ事限りなし」(出典:おもひのままの日記(14C中))

おもわれ‐びとおもはれ‥【思人】

  1. 〘 名詞 〙 異性から恋しく思われている人。恋人。思い人。
    1. [初出の実例]「つれなき思はれ人かな。袖ゆく水のしかも又、同じ泪にもあらず」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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